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第102回全国高校サッカー選手権大会 雑感

第102回全国高校サッカー選手権大会 雑感

 

102回目の選手権が終わってしまった。決勝は近江を応援していたのだけれど、残念な結果となった。高校サッカーそのものが大きく進化していると感じた大会であった。ただ応援席は高校生らしい雰囲気が相変わらず充満していたように感じられた。近江のサッカーは見ていて面白いサッカーだった。現代サッカーの主流となりつつあるフィジカル、スピード、ハードワークとは一線を画すスタイルは、サッカーというスポーツが持つ奥深さや自由度を見直す良い機会だった。選手を型にはめるサッカーではなく、規律や決め事が最低限しかないようなサッカーに映った。選手は自らの判断で目の前のプレーを決断し、創造性あふれるしなやかなプレーをしていたようだったので、「○○をしなければならない」とか、余計なプレッシャーを感じることのないようなストレスフリーの伸び伸びとしたサッカーをしていた。選手の柔軟性から生まれるプレーは、チームとして有機的なプレーへとつながっていった。なんといっても近年、ロングスローをこれでもかと見すぎていたので、ロングスローでカオスを作り出さない近江が新鮮に映った。

自由度と言う面からすると、近江のユニホームにも驚いた。エンブレムと一緒にある文字は「Be Pirates」だった。「海賊になれ」なんて、高校サッカーの域を超えてしまった感のあるそのユニは、どこの高校かさえ分からず、郷土意識とか帰属意識的な概念を超越していた。エンブレムだけ見てもさっぱり分からない。良い悪いはという次元ではなく、そういう自由な発想も高校サッカーでありということである。

 

今大会はTV観戦は準決勝、決勝は見たものの、他はすべてネット配信で見ることとなった。全試合のダイジェスト、お気に入りの高校の試合を、時間に制限されずに見ることができたので、年末年始は素晴らしい時間を過すことができた。

思い入れのある高校にもっともっとがんばって欲しかったけれど、僕の応援する高校はベスト8では3チームしか残らず、準決勝に進んだお気に入りの高校は1つだけだった。

誰もが思うことで、やはりPKでの決着がついてしまった試合が多すぎた。2回戦16試合中半分の8試合がPKとなり、3回戦も3試合がPK戦となった。PK戦まで想定し、しっかりと準備をしてきた高校が多かったように思えた。

 

激戦の予選を勝ち抜いて代表になっただけあって、信頼のおけるGKがいて、真ん中のCBは屈強で、抜群のセンスがあるボランチ(アンカー)がいて、勝負強いストライカーがどの高校にもいた。

選手に求められるスキルが格段とレベルアップし、指導者もサッカーを本気で追求している。高校サッカーは進化し続けている。学校、指導者、選手と同じく、応援する者、とくにサポートする保護者がアップデートしなければ、選手もその高校も強くならない。実力だけでも運だけでも勝利はつかめない。結果を出すことは難しいな~と改めて感じてしまった選手権だった。