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2023インターハイ観戦

2023インターハイ観戦

 

北海道旭川にインターハイの準決勝、決勝の観戦に行ってきた。

サッカーの試合以外に、吸収しなければならないことたくさんがあった。

印象に残る出来事は、準決勝 桐光-国見の試合のハーフタイムの桐光 鈴木監督の魂のこもった話だった。スタンドまで聞こえてくるその声に、観ているこちらまでビビってしまう熱いメッセージだった。「何のためにサッカーやってきたんだ、気持ち込めてしっかり闘え」、「頭使って、心も使って、体も使って闘え」、「闘えない奴はすぐに交代だ」と言って選手達をピッチに送り出した。

後半、国見の勢いを超える気迫で桐光は球際で闘い、ファーストディフェンス、セカンドディフェンス共に全力で走っていた。

 

国見には手塚という韮崎高校サッカー部OBのコーチがいる。試合前に手塚コーチのことを選手に聞くと、セカンドチームを見ているとのことで、旭川には来ていないとのことだった。会えることを楽しみにしていたのだけれど、またの機会となった。手塚コーチの時代は、(今では当たり前になってしまったことだけど)、韮高サッカー部史上初の選手権ノーシードとなった。それまでは普通にインターハイ予選でベスト4には進んでいたので、選手権ノーシードは衝撃的だった。いつの間にか(選手権の頃には)史上最弱チームと言われていた。弟はもちろん韮高には進まず、静学に行ってキャプテンとなった。どうでも良い想い出が浮かんでは消えた。

スタジアムに横付けされている国見のバスを目にしてしまったせいかもしれない。北海道の旭川に長崎ナンバーの国見バスがあったので、それはそれで衝撃だった。帰りは日本列島を南下し、あちこちで強豪校と試合をしながら九州長崎まで帰るのだろう。

 

スタンドでは一昨日の準々決勝の前育-尚志の試合の前育の保護者のご粗末な行為が話題となっていた。その試合を観戦した山梨から行っていた方から、前日にその話を聞いていたので、それほど驚かなかったけれど、みんなの話題になるほどだから、よほど観戦マナーが悪かったのだろう。素晴らしい高校なのに、保護者がダメにしてしまうのは、とても哀しい。

韮高も同様で、高校生がやっているサッカーにあれこれ口を出したり、先生にいろいろと言ったりするような親がいるようでは、はっきり言って強くならない。バカ親、糞親がいること自体が哀しい。子どもが被害者であり、良かれと思ってやっていることが全て選手たちのマイナスに働くことを肝に銘じてほしいい(分からないと思うけれど・・・)。

決勝は明秀日立-桐光学園だった。大学の後輩に明秀の知っている選手がいたので、なんとなくそちらになびいてしまった。明秀日立は静岡学園青森山田日大藤沢を破ってきた実力は本物だった。1試合見ているだけで、ほとんどの選手の特徴とプレースタイルが分かるほどだった。名前がすぐに覚えられるほどに個性的でインパクトのある特徴あるプレーをした。交代選手を含めて面白い選手が揃っていた。選手1人1人はかなり鍛えられていて、ハードワークと献身性、クリエイティブなプレーをした。これといったスーパーな選手はいないけれど、力強くまとまったチームだった。

延長後半で誰もがPKだと思ったファールが、ペナルティーエリア外になってしまったので、PK戦では明秀日立に勝って欲しかった。

 

それぞれの高校の始めと最後のあいさつの姿を見るのが好きなので、3校共に興味津々で見ていた。試合前のあいさつ、スタンドへのあいさつ、その姿が乖離するほどそのチームは最後の最後に踏ん張ることができない。

頭を下げるということは誰にでもできない。人に対してしっかりと頭を下げることのできる人間は強い。勝負は細部に宿る1つの事例である。

 

この大会でインターハイの1つの時代が幕を閉じた。来年からは福島固定のインターハイとなる。北や南の地で試合をする、または応援に行く楽しみや旅風情がなくなってしまった。どのような方向へ高校サッカーが向かっていくのか、今後も楽しみにしたい。