ニラニスタ発・蹴球思案処

蹴辞逍遥・晴蹴雨蹴

高校5年生

高校5年生

 

秋にたくさんのイベントが開催され、その時に貴重な話が聞けたので、ここに記しておきたい。民俗学者柳田國男が日本全国の口頭伝承を収集したように、韮高サッカー部の面白話収集という真似事である。現代において、時の流れに洗い流され、面白話というか骨董的価値があるようなないような話である。

昭和40年前後に韮高サッカー部であった話である。

 

当時、定時制から普通科へ転入してきた生徒がいた。その生徒はサッカー部に入部。その時すでに定時制で2年間とちょっとを過ごしていた。歳が下の仲間たちとのサッカー生活が始まった。高3でその部員は、20歳を迎えることとなった。

 

当時、その部員と一緒にサッカーをしていた先輩から聞いた話では、その部員は20歳になったということで、高3の夏にはプールの横でビールを冷やしておいて、練習後にビールを飲んでいたとのことである。先輩曰く「美味そうにビール飲んでたな~」と当時の事をしみじみと語ってくれた。

昭和の緩やかに時間が流れていた時代の逸話である。

 

同じ会場に平成に卒業したOBが居合わせた。社会人になって2、3年しか経っていないOBである。そのOBは職業柄、完全な休みというものがほとんどない。

「休みがなくて大変だな」と僕が言ったら、

「高校時代も休みなってほとんどなかったから、全然平気です」と普通に言っていた。社会人となり、まず一言目にでる言葉は会社の不平や不満がほとんどの現代の中で、珍しく前向きな言葉を聞くことができた。

 

高校3年間という限られた時間の中で、何を感じ、何を学び、その後の人生に活かしていくかは、本人次第である。サッカーを通じてサッカー以外のことを学ぶには、サッカーに真剣に打ち込むことである。サッカーを真剣にやることによってのみ、それに付随してたくさんのことが学べる。全力で挑戦する生活の積み重ねだけが、苦しい時の支えになり力の源になる。