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武田の里サッカーフェスティバル シニアの部からの選手権

武田の里サッカーフェスティバル シニアの部からの選手権

 

選手権3回戦、韮崎-韮崎工が行われた日と翌日の2日間で、武田の里サッカーフェスティバルのシニアの部が行われた。

60歳から最高齢は82歳の山岡さんまで、勝ちにこだわったサッカーをしていた。何と言っても僕らを含めた上の年代は、「リスペクト」という言葉はなかった。今も「リスペクト」という言葉を知らない人が多いかもしれない。勝つためには相手をけずったり、蹴飛ばしたり、見えないところでありとあらゆる姑息な事をして、勝利を目指した。そのくらい勝ちにこだわっていた。

歳をとっても相変わらずのプレーで、カードは出るし、味方に対しても容赦のない言葉が飛び交っていた。サッカーになると人が変わってしまうほどである。

不思議なことに、ピッチの外では、試合中にあったいざこざはどこかにいってしまっていて、傍から見ると喧嘩腰の会話だけれど、楽しそうな時間が見て取れた。

 

2日目に中央公園では、多くのOBが釜工との試合について、どこから入手したのかは分からないけれど、びっくりするほどの情報を持っていた。

「7-0の割には苦戦したらしい」

「あんまり良くなかったらしいじゃん」

「○○は出てなかったようだな」

本当に感心するほど、現役韮高サッカー部のことを知っていた。歳をとっても会話がサッカー中心なので、現役選手が予想もしない情報量があり、母校の復活に期待をしていることがうかがえる。

たくさんの60歳以上の大先輩方がいたので、あいさつ代わりに現役韮高のサッカーを見に行くかを聞いてみた。

「来週は、応援に来てください」という言葉には、

「見に行くはずはないだろ~、全国に出たら行くよ」と言う大先輩がいて、

「準々決勝当たりで見に行くはずないだろ~、準決、決勝はTVでやるし」という大先輩がいた。

母校韮高の観戦基準は、あくまで全国の舞台であり、それが当然と思っている頼もしい大先輩だらけだった。

1人だけ「韮高が選手権に出場したら、泣くな」と言った大先輩がいた。

 

僕は準々決勝の会場になるグランドに願掛けをしてきた。苦しい時に力になる見えない力をささやかながら注入してきた。大先輩が試合をした後のピッチで、現役サッカー部は恥ずかしい試合は出来ない。また、2年連続で韮崎の地で負ける訳にはいかない。

 

ここからは『百折不撓』の尊厳の闘いとなる。100年間歌い続けられている旧制韮中校歌の『百折不撓』は、特別な力を試合にもたらし、選手にいつもの力以上の力を与える。このことはかつてのOBがその証言をしているから、間違いない力である。多くの力を結集して、選手権を獲りに行きたい。