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ユースリーグ第7節 韮 崎 - 帝京三

ユースリーグ第7節 韮 崎 - 帝京三

 

結果

7月2日 日 9:30キックオフ 帝京三

韮 崎 1-2(1-0) 帝京三

 

インターハイ予選の結果、選手権予選では順当に勝ち進めば、帝京三とは準決勝で対戦する。昨年の選手権では準々決勝で帝京三に2-0と良いところがなく敗れた。今年の新人戦決勝、韮高は先制点を奪い追いつかれ、追加点を奪い突き放すも再度同点に追いつかれた。そして延長戦で逆転されて2-3で見事に敗れた。帝京三との敗戦の歴史は、現在も劣化継続中である。過去のことは振り返らないとしても、選手権を見据えているならば、この試合に対する並々ならぬ意気込みや覚悟があって当然である。またこの試合の意味も重く深い。そう考えている現役選手がどれくらいいたのだろうと考えてしまう。

 

前半は韮高は押され気味だったものの、守備は機能していた。インターハイと同様にややリトリート気味にしてMF、DFでしっかりとした守備ブロックを形成。帝三の攻撃を跳ね返していた。ロングボールは自由にさせず、縦へのパスに関してはしっかりとチャレカバを繰り返し、粘り強い守備をした。しつこい守備で帝三に決定機を作らせなかった。危なげないとは言えないまでも、まあまあの出来だった。

飲水後は、ボールを奪っても、自分たちのエリアでボールを失ってしまい、またビルドアップしてもハーフライン付近ですべて攻撃が終わってしまっていた。帝三の切り替えの速さは素晴らしかった。GKのポジショニングが高い位置なので、DFラインはさらに高い位置に押し上げられ、選手間の距離は縮まった。韮高は数は少ないにしてもチャンスは訪れるだろうと思っていたら、一瞬の隙をつきMFがDFの背後に抜けだし、GKと1対1となった。飲水後のファーストシュートが韮高の先制点となった。先制点後は韮高の攻撃の時間が長くなり、CKがありシュートで終わる攻撃を仕掛けることができた。帝京三はボールは保持しているものの、韮高の守備ブロックの前に攻めあぐねていた。帝三の攻撃が雑になり始めていて、韮高はそれにも助けられた。

 

新人戦は前半のうちに追いつかれたので、成長した点は前半を1-0でリードして折り返したことだった。ただ悲しいことに今年の韮高は、先制点を奪っても勝ち切れないところがある。普通なら先制点を奪えば、盤石な試合運びでウノゼロの戦い方をして勝利をたぐり寄せることができるのだけれど、それを求めることができない不安定さがある。

後半は帝三がどのように試合に入ってくるか、変化を生み出すアクションをしてくるかが楽しみだった。韮高はその変化にしっかり対応し、追加点のチャンスが巡ってくるので、それを絶対にモノにすることが求められた。

後半から帝三はギアを上げて試合に入った。裏を狙うちょっと雑と思われるもったいないプレーをしてきた。韮高のDFが冷静に対応していたものの、その圧に耐えられずCKが連続した。韮高のGKのファインセーブが何回もあり、帝三の攻め疲れと焦りとイライラ感を増すことができる試合運びをしたいところだった。飲水までにCKは7本あり、ほぼ一方的な試合になってきた。

飲水後が勝負になることは、誰でも分かる。韮高がようやく後半初シュートを放った。FW2人のプレスからGKと1対1を作り出したけれど、決めきれなかった。試合を決定付ける2点目は奪えなかったけれど、韮高の集中したディフェンスで、体を張るところは張り、足を出すところは足を出し、球際の出足も韮高の方が良くなってきた。ノーファールでのギリギリのディフェンスは安心して見られないとはいえ、まあまあだった。声のかけ方も韮高の方が勝利に近く、帝京三のベンチからの苛立つ声が目立った。韮高、帝三と目まぐるしく選手交代を行い、5人の交代をフル活用していた。韮高に再度、決定機が訪れるも、やはり決めきることができず、そこが勝敗の分かれ目だったように思える。

30分を過ぎ、韮高のハンドからのFKがあり、1度は跳ね返すも帝三の人数をかけた2次攻撃で1-1となってしまった。そしてその3分後にCKからまたも跳ね返すも3次攻撃で見事なヘディングシュートが韮高のゴールに勢いよく突き刺さった。

帝三の逆転劇は見事としか言いようがなく、韮高は惨めにも撃墜された。運ではなく実力以外の何物でもない。勝ち切れない弱さが際立った。後半の後半、疲れた時のポジショニングに甘さが見られたことと、交代選手が役割をしっかりと果たせなかったこと、そしてなんと言ってもメンタルが涙が出るくらいに弱かったことが敗因である。帝京三の選手たちの勝利への執着心を見習わないと、選手権も同じ運命となる。なぜ勝てないのだろうかというのは、ピッチに立った選手が一番身をもって感じていると思っている。感じているだけではだめなのだが・・・・。

大事な試合で、1試合で1点は獲ることができる韮高である一方で、失点は1試合2点奪われてしまう実力のなさが現状である。ならば、試合を通じて失点をしないリスクマネッジメントができる選手や守備戦術を理解できる選手が最終ラインを守ることが、選手権に出場できる最短ルートである。点が奪えるチームだからこそ、残念なチームにならないことを祈るだけである。