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帝京三戦への希求

帝京三戦への希求

 

第101回全国高校サッカー選手権大会山梨県大会の準々決勝で、韮高は帝京三と対戦する。おそらく予選最大の山場である。ここを乗り越えれば、準決勝、決勝と衝動的な勢いを持って突き進んでしまうような気がする。とはいえ、目の前の山を越えると、またその先には一段と高い山が聳えるのは世の常である。サッカーも生活もやまなみの連なるところに位置している。

帝三戦は総力戦であることと、選手1人1人、チームとしての真価が問われる闘いになる。なぜならば、帝三に負け続けているからである。帝三を倒さない限り、選手権に出場できない。韮高が選手権に最後に出場した14年前の2008年の決勝の相手は帝京三だった。帝三を1-0で倒して県代表になって以来、今までの長い年月、選手権では帝三に勝ったことがない。2010年・準々決勝・0-3、2017年・準々決勝・1-2の2回の対戦はどちらも敗戦。帝三の前で高校サッカー生活が終わっている。

僕の感覚的な思考回路では、山梨学院に負けるよりも帝京三に負けるほうが何倍もくやしさが増す。そのために負の記憶も蓄積されている。近年で見ると、昨年のインターハイの決勝で負けているし、先日のユースリーグでは圧倒的な敗北をしている。ユースリーグでは過去6年間、残念ながら勝ったことがない。

だからこそ、勝った時の記憶も鮮明に残っている。数少ない勝利は2回しかなく、2020年の新人戦の準決勝では、3-1。2点差をつけての勝利は10年以上ぶりだった。2019年の県総体準々決勝は1-0。見事なフリーキックで帝三を沈めた。ユースリーグを除けば5年ぶりの勝利だった。

今年の帝三はユースリーグでは、2位以下を大きく引き離しプリンスリーグへの挑戦権を勝ち取った。攻撃も守備も安定している。特に守備に関しては盤石であり、そう簡単には点は獲れない。毎年ながら、帝三はとても良いチームで、良いサッカーをする。

相手の強さを認めた上で、韮高は覚悟を持って帝三に挑まなければならない。韮高が全く歯が立たないという訳ではない。帝三に引けを取らない戦力があるし、立ち向かう闘志もあると思っている。帝三相手にどのように試合展開をデザインし、どのようなアプローチをして、勝利の糸口を見つけるかが楽しみである。ユニホームの力だけでは勝つことができず、監督の力だけでも勝つことができない。持てる力を全て結集し、総力戦で試合に臨めば、何かが起こる。全国へ勝ち上がるトーナメントでは、必ずポイントになる試合がある。それが準々決勝の帝京三戦だと思っている。14年ぶりに選手権で帝京三を倒す試合を目にしたい。