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『バロッテッリ』黒い肌のイタリア人エース

サッカー本 0105

 

『バロッテッリ』黒い肌のイタリア人エース

著 者 マイケル・パート

訳 者 桶渡 正人

発行所 株式会社ポプラ社

2015年9月 発行

 

ポプラ社は児童向けの本を主に出版している。誰でも目にしたことがある児童書の名著があり、読んだことのある本がある。『バロッテッリ』は、ポプラ社ノンフィクションシリーズの24冊目の本で、メッシやC・ロナウドネイマールに続いて、サッカー選手としてバロッテッリが4人目に登場した。

アズーリの歴代FWの中でも、僕の中では特に大好きな選手であり、2012年のユーロでのプレーが衝撃的すぎて、一気にファンになってしまった。

 

この本は、生まれる時から、バロッテッリが21歳でチーム最年少のストライカーとして活躍した2012年ユーロの時までの伝記である。

現在では悪童として名高くなってしまった感は否めないけれど、バロッテッリの複雑な生い立ちを知ると同情の余地がある。一方で、ガーナから引き継がれる「血」という部分では致し方ないような気がする。

 

ガーナ移民のバウア夫妻の長男として生まれ、極貧生活から抜け出すことができないまま弟が生まれた時に、3歳で里親に引き取られた。里親はバロッテッリ夫妻で、3人の実の子どもがいるのにもかかわらず、家族の一員としてマリオを愛情を持って育てる。

バロッテッリ夫妻は裕福な家で、シルヴィア夫人がバロッテッリに大きな影響を与えた。シルヴィアはユダヤ人の両親に育てられた。両親は第二次世界大戦の時にナチスアウシュビッツ強制収容所での迫害から生き残った。大戦後の悲惨な子供時代の経験から、シルヴィアは何人も里子を受け入れる。

肌の色が違うだけでたくさんの嫌な経験をし、差別される。揉め事やいさかいが絶えなかったマリオに優しく愛情を持って接したのが養母シルヴィアだった。

ユーロの準決勝、イタリア-ドイツの試合終了後、スタンドにいるシルヴィアに駆け寄ったバロッテッリは、2得点を養母のシルヴィアに捧げた。

 

小学生用に書かれた本なので、とても読みやすい。児童書なので子供に訴えるだけのことがあり、核心を的確についている。大人向けの本より、大切なものがたくさん詰め込まれている本であると思う。

 


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