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『三年戦争』

サッカー本 0054

 

『三年戦争』

モウリーニョ VS レアル・マドリード 

明かされなかったロッカールームの証言

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著 者 ディエゴ・トーレス

訳 者 木村浩嗣

発行所 ソル・メディア

2014年2月24日発行

 

 

モウリーニョレアル・マドリードとの契約解消を発表したのが、13年6月。そしてこの本の最終章は8月で幕を閉じる。スペインで発売されたのが9月。半年も経たない超スピードで日本語訳が出版されためずらしい本である。

 

この本にはモウリーニョファンが見たら顔をしかめるようなことが書いてある。

当然である。モウリーニョは残酷だから・・・ではない。

選手側からの被害者視点であるからだ。

~略

この本を読んでモウリーニョを嫌いにならないでほしい。

 

 

月間フットボリスタ編集長が翻訳し、その前書きで書いてある通り、モウリーニョのありとあらゆるダーティーな部分、自己中心的なモウリーニョの恥部が書かれている。

日本でも膨大な数のモウリーニョ本が出版されている。戦術本、哲学本、リーダー本など多角的な切り口の本がある。この本は数あるモウリーニョ本の中でも暴露本的な意味合いが強い。反モウリーニョにはもってこいの本である一方、モウリニスタからすると許すことのできない内容である。

暴露本というだけではなく深い内容で、推理小説並みの人間関係図も冒頭にあり、クラブ、スタッフ、監督、選手、サポーターという立場を含め、サッカーがサッカーでなくなってしまうほど、大きな問題をサッカー自体が内包していることが読んでいて伝わってくる。

 

また深読みできるだけでなく、純粋にモウリーニョのレアル時代の内部を驚きながら読み進められる。驚くというより、ショックである。モウリーニョに嫌われていたカシージャス、S・ラモス。マルセロやエジル、カカの冷遇起用。モウリーニョに懐疑的なイグアイン、Ⅹ・アロンソの食い違い。

モウリーニョに気に入られていたディ・マリア、ペペ、カルバーニョは別としても、最後にはC・ロナウドからも見放される。

因果関係があるかないかは別にして、モウリーニョ時代には、チャンピオンズリーグを制覇することはなかった。レアル時代のモウリーニョを振り返るには必読の本である。

 

 

 

付記

昨年、成績不振、ポグマとの衝突もあり、マンUの監督を解任され、19-20シーズンのプレミアリーグに、スパーズの監督として11月末に現場復帰したばかりである。個人的には賞賛されるモウリーニョよりも、批判されるモウリーニョが好きである。記者会見でのプロバガンダとアジテーションを楽しみたい1人である。モウリーニョ色のトットナムサッカーを興味深く追って行きたい。

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