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『主審告白』

サッカー本 0092

 

『主審告白』

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著 者 家本政明

発行所 東邦出版

2010年9月1日発行

 

Jリーグ30年目のシーズンとなった。昨シーズンで引退をした家本が、2010年に出した本である。今シーズンの開幕戦でレッドカードのジャッジについて、引退した家本が発言したことがまたも問題となった。引退してもなお、恨みを持つ多くの敵がいる。僕もその一人で、家本は大嫌いである。人間性を抜きにして、試合におけるミスジャッジは許せないものがある。そして大嫌いであっても、家本の本をお金を出して買って、読んでしまう自分が情けない。

 

Jリーグが好きで、熱心に応援するチームを持っているサポーターならば、家本のジャッジに泣かされなかったサポはいないはずである。試合開始前のメンバー紹介後の審判の紹介で、家本の名前が出るとスタジアムが大きなブーイングに包まれ、また大きなため息が響く。対戦相手のサポ通しが一体感を持てる場面でもある。

 

聖地ウェンブリーで日本人初の主審となった経歴があり、当時(1996)、1級審判員を最年少で取得したことも有名である。それにも増して、ミスジャッジの数の多さ、不可解な判定の多さは、世界屈指である。

 

もともと家本のジャッジは評判がすこぶる悪く、2006年には「判定の一貫性を欠く」と判断され、1ヵ月の研修処置、香港リーグでの研修を行い07年に戻ってき経歴もある。

 

有名なのは2008年のゼロックススーパーカップの鹿島-広島戦である。退場者3名、警告11枚が出る試合をコントロールしきれない家本劇場、ぶち壊し試合である。この試合を持って、家本は無期限割り当て停止の処分となった。

 

本書のあとがきで語っている。

私は私の立場をわかっています。私が私の言葉でどれだけ正しいことを言っても、どれだけ誠実に話したとしても、それは読者の方には届かないでしょう。

 

家本がどれだけ、オープンマインドであっても、僕の心には響かない。自分がどれだけひどいジャッジをしてきたかを考えれば、今もメディアに登場しているその無神経さを疑う。試合を裁き、コントロールしなければならない審判は神聖であり、リスペクトの対象でなければならない。けれどその当事者が暴走し、冷静さを失ったとしたら(常に失っていた)、どこかの国の独裁者と同じあり、犠牲者は増え続ける。

 

読む時間を割くにはもったいない本であり、読むに値しない本である。そのような意味では珍しい部類に入る本である。サッカー本にはそのような本も存在するけれど、これは典型的な読んで損をする本である。YouTubeで家本の悪行を見るのが手っ取り早い。

 

 

家本政明 - Wikipedia

 

 


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