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ユースリーグ開幕 韮 崎-駿台甲府

ユースリーグ第1節 韮 崎-駿台甲府

 

結果

4月3日 土 12:30キックオフ 東海大甲府

韮 崎 3-0(3-0)駿台甲府

 

新人戦が中止になってしまったので、新チームには初の公式戦となった。全国を見据えた試合をするならば、ちょっとした油断、ちょっとした集中力の欠如は一切許されない。常に緊張した意識の高い試合をしなければ、全国で勝ち抜くレベルには到達することは難しい。

駿台甲府は新興勢力ながら着実に実力を兼ね備え、チーム力をアップさせている高校である。数年前には足元をすくわれた試合をし、駿台甲府に公式戦で初めて負けた苦い経験がある。また昨年の選手権準々決勝では、最後まで分からない展開となったしぶく成長したチームである。

韮高は駿台甲府のしつこさに、サヨナラをしなければいけない試合だった。韮高は駿台レベルには付き合うことなく、もっともっと上を目指す高校である。有無も言わさず叩きのめしておかないと、後々やっかいになる。

試合は3得点失点0のしっかりとした試合ができた。駿台を寄せ付けない試合内容で、終始圧倒する展開だった。今後も同じように圧倒的にやっつけなければならない。後半に得点ができなかったけれど、これから先、もし対戦することがあれば、その時に後半にも点を入れれば良いだけなので、それほど心配はない。駿台相手に後半に軽く3点を奪えるレベルに達したい。

駿台を始め県内の高校には、「やってみなければ分からない」という淡い期待を抱かせるのではなく、「ちょっと勝てそうにない」と試合前から思わせるような韮高の雰囲気、風格を作り出していくことが、全国を目指すチームの最低条件だろう。

韮高のやっているサッカーがこれからさらにレベルアップするためには、ボール保持者よりも、ボール被保持者の動き重要になってくるのではないかと思う。ボールを持っていない選手の受ける動き(ポジション取り)によって、試合を有利に進められる。数的均衡におけるボール被保持者の位置的有利は、的確な状況判断をトレーニングによって鍛えることができる。ボールに1番近い選手だけでなく、ボールを基準点として前に1人、横に2人、後ろに1人パスを受けられるポジション取り(ひし形)を作り出すことが質的優位になる条件である。常に4つのパスコースが見えている状況を、周囲の選手ができるようになれば、激しいプレスでもそれほどストレスにならない。プレー原則としては、ボール保持者が敵にゴールを向けている場合は後ろにボールを戻し、前にパスコースが見えている場合は前にパスを出すという原則である。パスを受ける選手の動きは、5レーン、ハーフスペースという概念の基に、動きを判断する。難しいことはなく、昔で言う「門」とか「ギャップ」での受け方である。

ひし形ができない場合は、何十年前から言われているクラマーやオフトがしつこく言っていた「トライアングル」を作り出すことである。現代サッカーでは2ブロックを敷くディフェンスが主流である。その2ラインをどのように崩すかは、そのラインを乱すことから始まる。ボール保持者よりも、ボールを引き出す動きを創造できる選手が重要になってくる。

高校サッカーでもプロサッカーと同様、ゲーム中における戦術の言語化、明確な約束事はさらに重要度は増してくる。誰が出てもチームとしてのコンセプトを遂行できる選手層と理解できる頭が必要である。

ボールを持っている時間は試合中で数分である。それ以外はボールを持っていない時間である。その時に何をしているか、意識、判断、行動は大きく差が出るところである。1日24時間の中で、サッカーをしている時間はどのくらいだろうか。サッカーをしていない時間に何をしているのだろうか。その時間がサッカーの時間に現れる。サッカーは頭を使うスポーツである。そう思えばなおさら日々の時間の使い方、考え方、行動こそが、サッカーそのものだと言える。

 

選手に魚を与えるな。魚の釣り方を示せ。