ニラニスタ発・蹴球思案処

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選手権準々決勝 韮 崎-甲府商

選手権準々決勝 韮 崎-甲府

 

結果

10月31日(土)10:30キックオフ 韮崎中央公園陸上競技場

韮 崎 0-1(0-0)(0-1)(0-0) 甲府

 

コロナ渦の中での、韮高の選手権への挑戦は終わってしまった。

奇しくも、今年度初の公式戦(ユースリーグ)の対戦相手は甲府商だった。そして最後の試合も甲府商だった。

選手権は今年で99回大会。韮高、甲府商ともに歴史の古い高校なので、戦前より良きライバルとして山梨のサッカーをけん引してきた。歴史を紐解くと、韮高が選手権で甲府商に負けたのは、今回が初めてである。今思うと、観ている者にとってはその史実が根底に無意識に存在したかもしれない。今までは苦しみながらもなんとか勝ち抜いていたので、前半0-0、後半終了まで0-0であってもいつものドキドキ感がなかった。延長でのPKで0-1になってもなお、最後は勝てるだろうと思っていた。

 

予曰く、勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし。

問ふ、 如何なれば不思議の勝ちと云う。

曰く、 道に遵い術を守るときは其の心必ずしも勇ならざると雖ども勝ちを得。

是れ心を顧みるときは則ち不思議とす、故に曰ふ。

又た問ふ、 如何なれば不思議の負けなしと云ふ。

曰く、 道に背き術に違う、然るときは其の負け疑ひ無し、故に云爾(しかいう)。

客乃ち伏す。              松浦静山『剣談』より

 

たくさんの負けの原因が散らばっていて、試合後にぽつぽつと出始めている。なるほど、負けるべくして負けたのだなと思わざるを得ない。コロナウイルスの影響で、春から思うようなトレーニングがどの高校もできなかった。県外からのサッカー留学が多い私学では選手がバラバラになる中で、韮高は地の利を生かした環境にあり、チームとしてはライバル校よりリードできていた。とはいえ、選手権はサッカー部だけでは勝ち上がることはできない。学校を挙げての、または地域単位での総力戦である。そのような意味において、保護者のみの観戦では韮高の持つ他校を上回る総合力が発揮できなかった。選手権は別物である。選手達だけの責任ではない。中途半端なこと、身勝手なことばかりしていたら、勝てる環境ではなくなる。この敗戦は「自滅」である。選手権に出場するためにできること、選手のため、チームのために何をすればベストなのかの判断を間違った幼稚な敗戦であった。

 

ピッチ内で見ても同様である。冷静さを欠く選手、ここ一番の大切な試合で力が発揮できない選手、運をつかめなかった選手が浮かんでしまう。韮高サッカー部の歴史に刻む1点は、甲府商業の1点となってしまった。

 

優しい雨に打たれ緑が蘇るように、悔しい涙を流したら、また這い上がらなければならない。