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第100回全国高校サッカー選手権大会山梨県予選  決勝 韮 崎-山梨学院

第100回全国高校サッカー選手権大会山梨県予選 

決勝 韮 崎-山梨学院

 

結果

11月6日(土) 12:05キックオフ JITスタジアム

韮 崎 0-0(0-0)延長(0-0)(1-1)PK3-5 山梨学院

 

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100回目の節目を迎える大きな記念すべき大会の山梨県代表は、山梨学院となった。山梨県のサッカーをけん引してきた2校の対決は、選手権代表を決定するにふさわしい試合となった。特に韮高においては、記念大会が故に、そして積もり積もった選手権出場への想いが強いだけに、なんとしても代表の座を勝ち獲りたかった。それは選手、学校のみならず、多くのOBや地域の方々の願いであった。見事に山梨学院に打ち砕かれてしまったけれど、決勝での韮高の闘いは多くのものを思い起こさせ、考えさせられ、様々な感情を味わうことのできる試合だった。現在もそのような状況が続く中に身を置いている。それだけ重く、重すぎる試合だった。多くの韮高ファンの心を動かした試合だっただけに、様々な感情を味わうことは当然である。

試合には多くのものが詰まっていた。キックオフ前の高揚感、試合開始直後のドキドキ感は格別だった。試合中にふっと訪れる決定機を決めきれないがっかり感は良くも悪くも格別である。試合を通して勇気をもらうことができたし、0-0でのタイムアップのホイッスルを聞いたときは、韮高のしぶとさにさらなる勇気をもらうことができた。

延長後半での先制点は、夢が実現する時の気持ちはこんな感じなんだと、試合が終わっていないにもかかわらず、夢心地となった。韮高の選手権出場が現実味を帯び、そこから湧き上がる感情の強さに試合に集中できなかった。数分後に現実に引き戻されることになるとはこれっぽっちも思っていなかった。

前年度日本一となった山梨学院はそう簡単に死ななかった。試合終了のホイッスルが鳴るまでは、最後まで何が起こるか分からない。サッカーの怖さを思い知らされた。1-1に追いつかれた時の脱力感は半端なかった。山梨学院の選手の諦めの悪さとその気持ちの強さに驚いた。

PKに突入しそこからは先は祈るしかない。決着がついた時の感情は何度味わっても嫌なものである。後悔があり無念さがあり虚無感に包まれる。ふつふつと湧き上がるくやしさがあり、ぶつけようのない感情もある。古くて懐かしい感情と新しく味わったことのない感情が入り交じり、冷静に考えることさえ難しい。

 

自分のことは別として、韮高サッカー部の現役部員、ピッチに立つ立たないに関係なく、全員に感謝しなければならない。1つの目標に向かって全力で打ち込んできた日々の総力戦であった学院戦は、無常な結末となった。長いトンネルの出口は見えている。一瞬だけど光は見えた。緑の力はまだまだ大きくなることができる。

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人生はこれからも続く。

サッカーでもそうだろう。

試合に負けるのは

人生の終わりではない。

イビチャ・オシム