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『サッカーで、子どもの「考える力」と「たくましい心」を育てる方法』

サッカー本 0080

 

『サッカーで、子どもの「考える力」と「たくましい心」を育てる方法』

 

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著 者 中山雅雄

発行所 マイナビ出版

2016年3月25日発行

 

この本は、日本サッカー協会の機関誌『JFA news』の中の隔月で連載されたコラムの6年分をまとめた本である。サッカー心育論をスポーツ心理学の見地から書いている。

この本の「子ども」の定義がどの年代なのかと言えば、「育成年代」と大きく括ることができる。その育成年代に携わっている指導者に向けての手引書ではあるものの、そういった類の本を選手目線から読むことで、また新しい視点が開かれる。育成年代の現役選手(特にユース年代)では、自分を客観的な視点で見るスキルは必要で、このような本を読むことで、自分をより良く知ることができるのではないかと思う。

 

またこの本は、難しい用語も出てくる。例えばチームと個の関係性において、複雑系科学で用いられる「自己組織化」という用語であったり、スポーツ心理学の「原因帰属理論」であったり、「心理変数」などがある。実際のサッカーでのプレーに置き換えると、分かりやすく理解できる。

 

育成年代となる子供たちのサッカー指導には、「サッカーを教えること」と「サッカーで教えること」の二つの役割があると思います。

 

「学び」の研究の焦点は、「指導者はどのように教えれば良いか」から「学習者はどのように学んでいくか」へと変化してきているようです。

 

選手目線からすれば、「サッカーを学び」、「サッカーで学ぶ」となる。人が何かを学ぶときの方法として、「読む」、「見る」、「聞く」、「行う」がある。指導者、選手共に、より高いレベルで自分を磨く必要があると思わされる内容である。スペイン代表監督のデル・ボスケの言葉が最後に響く。

「サッカーのことしか知らなかったら、道に迷う」