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『JFA テクニカル・ニュース Vol.90』

4月サッカー本
 
『JFA テクニカル・ニュース Vol.90』

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監 修 公益財団法人 日本サッカー協会技術委員会
発行所 公益財団法人 日本サッカー協会
2019年3月25日発行
 
2004年の発刊から15年、今号で90号になった日本サッカー協会発行の『JFA テクニカル・ニュース』が表紙にもある通り、次号vol.91よりWebでの配信となる。よって、この90号が冊子での最終号となる。JFA公認指導者資格を持つ指導者を対象にした隔月発行冊子であったため、目にする人は見慣れた表紙であり、その一方で見たことのない人にはそんな雑誌があったのかという感覚かもしれない。
 
毎年ながら、この季節発刊のテクニカル・ニュースは興味深い。特集3の冬季大会テクニカルスタディの中の、平成30年度の高校サッカー選手権大会がある。「技術・戦術的分析」では、前回大会と同様、「インテンシティー&クオリティー」のテーマで4局の観点で分析していた。
 
(1)攻撃
攻撃は優先順位を意識し、シンプルにゴールを目指して前線に縦パスを送るチームが多かった。~略~ ボールを奪った瞬間に前線のFWや相手DFの背後へのロングボールを狙い、セカンドボールの回収からの攻撃や、拾えなかったときはそこからのプレッシングにより、ボールを奪って攻撃をしかける展開も多く見られた。
~略~課題としては、前線の選手の意図的な動き出しがなく、ボール保持者も判断せずに縦パスを送り、簡単にボールを失っている場面が多かったことである。
 
と細かい課題が挙げられている。韮高も同じスタイルなので、同じことが言えるのではないか。「攻撃の優先順位を意識できる身体の向き」を習得したい。
 
(2)守備
前線から積極的にボールを奪いに行くチームもあったが、全体的にはミドルサードで、FWの規制から守備を開始するチームが多かった。試合開始から意図的にリトリートするチームがなかったことからも、チームとして個人としてもできるだけ前線からボールを奪いに行く意識は持っていたと言える。
 
こちらも韮高が取り組んでいる守備戦術である。アタッキングサードとかミドルサードとかサッカー用語が、分析の都合上、新しく作られていてサッカーと共に用語も進化している。
 
(3)切り替え
前回大会と同様、攻守における切り替えの速さは、どのチームもコンセプトとして取り組んでいる様子がうかがえた。特に攻撃から守備への切り替えでは、ボールを奪い返しに行く意識は非常に高かった。しかし、どのチームもボールから近い選手の切り替えの意識は高いが、ボールから遠い選手の切り替えが課題であった。そのため、近い選手のプレスがはがされてしまうと、一気に自陣ゴール前まで運ばれてしまう場面や、ボールを奪われた瞬間のダイレクトプレーで最終ラインを突破される場面も多かった。
 
大学選手権、高円宮杯U-15、全日本U-12とテクニカルレポートが載っているので、その課題を読んで、トレーニングを意識してやるだけでも違ってくるのではないかと思う。
 
次号からWeb配信になる。動画の配信、映像を交えての解説は、本の図説よりは遥かに分かりやすい。けれど、本を手に取る質感だとか、もう一度見たい記事を探しだす行為自体にささやかな喜びを感じる僕にとっては、ちょっと淋しさを感じる。僕は古い人間なので、本の文章は頭にスッと入ってくるけれど、パソコン画面からの文章は頭に入りにくい。また文書に線を引いたり、余白に気になったことを書き留めたりするので、パソコンでの学習スキルが未熟である。時代の流れなので、静観するしかないし、対応していくしかない。