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アジアカップと山梨の高校サッカー

アジアカップと山梨の高校サッカー

 

アジアカップカタール大会が始まった。地上波での放送もなくて、国内ではどれくらいの注目度があるのかは分からないけれど、僕の中では(キックオフの時間も丁度良いので)、普通に観ている。第2戦のベトナム戦は、地上波での中継があった。ライト層にアピールできる絶好の機会に、日本代表はイランに1-2で負けてしまった。試合後に、多くのご意見番やサッカージャーナリストの記事がたくさん出ていて、その敗戦記事を興味深く読んでいる。Aマッチの連勝記録は10でストップしたとか、1988年以来、グループステージは25戦無敗が途絶えたとか、イラクに負けたのは40年ぶりだとか、近年稀にみる批判記事が溢れている。

 

そのような中、山梨の高校サッカーにとっては感慨深いA代表となった。山梨学院OBが2人選出された。ユース出身が多い中で、今回の高校サッカー出身者は11名(カタールW杯は13人)、同じ高校が2名いるというのは、山梨学院だけである。渡辺剛と前田大然である。2人は先輩と後輩で前田大然が1つ下である。個人的には2人がJ1で初対決した2019年のFC東京-横浜マリノス戦も感慨深かった記憶があり、今回の2人のA代表入りは、学院時代の2人を知っているサッカーファンにとっては、同じく感慨深いものである。

 

渡辺剛と前田大然が学院でサッカーをしていたのは、2012年から4年間であり、当時の山梨学院は日本一を狙える力があった。よって韮高は試合を通して一方的に押し込まれ、ハーフラインを超えることはなかった。トップチームの試合を見ることのできる大会は、インターハイと選手権だけで、関東大会につながる県総体などは見向きもしなかった。

どれだけ強かったかというと、2014年の地元韮崎で行われるインターハイの県予選準決勝で学院に0-5で大敗している。勝てばインターハイ出場の大一番だった。学院は全国でも優勝候補の1つだったけれど、韮高もかなりの戦力があった。それにも増して学院は魅力的な選手が揃い過ぎていて、圧倒的だった。

 

今でこそ、前田大然が有名になったのでちらほらと目にする事件があって、学院が辞退した2013年のインターハイは、韮高が出場した。選手権では学院との決勝を楽しみにしていたけれど、韮高は2013、2014年と選手権では初戦で負けてしまった。加部、白崎、渡辺剛、前田大然、加藤、宮崎と2010年代は、韮高は学院の壁を破ることはできなかった。

 

高校時代の2人のプレーを目にしてきた高校サッカーファンにとっては、2人のA代表選出はうれしいことである。常に悔しい思いをさせられてきた2人ではあるものの、高校サッカーは通過点であり、日本のサッカーをけん引する選手に成長しているので、これからも注目して見ていきたい。