ニラニスタ発・蹴球思案処

蹴辞逍遥・晴蹴雨蹴

昭和10年の韮崎中のこと

昭和10年の韮崎中のこと

 

サッカーとサッカー以外のことでも、良質の情報を与えてくれるサッカー仲間がいる。その仲間が、『神戸一中 蹴球史 復刻版』を入手したとこのことで、連絡をもらった。

 

以前、綴ったことのある昭和10年のことである。全国を狙うことのできる韮中は、第2回関東中学校蹴球大会で優勝。関東ナンバー1となる。そして第17回全国中学蹴球選手権大会に関東代表として出場権を得た。関東大会の15人の優秀選手の内、7人が韮中だった。

http://nirasakisoccer.livedoor.blog/archives/4201452.html

 

春の全国中学校招待大会は、韮高初の全国大会だった。その大会の準決勝で神戸一中と対戦する。

 

『サッカー物語』引用

準決勝は午後三時半から兵庫県下ナンバーワン神戸一中との間で行われた。地元である神戸一中の応援団は韮崎中の応援団をはるかにしのいでいた。それに、芝に慣れていない韮崎中イレブンに、それは雨の中での試合のような慣れない足の感覚をもたらしていた。前半は3-3、後半も、韮崎中は自陣ゴール前でペナルティーキックを与え1点を許した。しかし主将の清水正己がセンターライン付近からドリブルで抜いたあとロングシュートを決め4-4に追いつき、延長戦に突入する。延長前半も0-0。が、後半二分の神戸一中のヘディングシュートが決勝点となり、ついに韮崎中は4-5で破れた。

 

『神戸一中 蹴球史 復刻版』で、同じく韮中との試合の内容が記されている。他校の蹴球史、それも戦前の昭和の時代の韮崎中の試合が記されていることはとても貴重であると思う。

 

サッカーに注ぐ情熱は、今も昔も変わらない。その勝利を目指す熱量は、いつの時代もハンパない。そしていつの時代も勝ち切ることは難しい。サッカーが日々進化する現代にあって、根源的なメンタリティーは不変である。その不変的な普遍性を大切にしたい。未来を見据え、未来を語るには、過去の歴史から多くを学ぶことができるし、学ばなければならない。