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敗戦雑記2

敗戦雑記2

 

今年の選手権は、東海甲府に良いところなく敗れ去った韮高だった。たくさんの可能性のある選手がいて、面白そうなプレーができそうな選手が揃っていたにもかかわらず、チームとしては機能していなかったように感じる東海戦だった。

あそこがダメだった、あそこができていないというのは、誰でも指摘できる。そこから、ではどのようにすればいいかを思案する。

自軍(それもかなり深い位置)から、ビルドアップできなかったことについては、まずDFでのポジェッションが不可欠である。駿台甲府のDFラインは、余裕を持ってボールを回せるのに、韮高はボールを保持することを怖がっているような雰囲気を醸していた。相手の前線の選手のプレスに焦るのではなく、むしろ喰いつかせているくらいの余裕を持つべきだった。DF4人+GKを絡ませたポジェッションをすれば、そう簡単にボールを奪われることはない。5人でボールを保持するところに、敵が何人でボールを奪いにきているかを冷静に判断すれば、無暗にボールを蹴り出すことはない。できれば、GK+DF3人でのポジェッションにして、SBの1人がMFと同じく高い位置を取ることができれば、中盤へのパス選択肢が増える。SBがタッチライン付近で高い位置を取れば、サイドハーフは中に絞ることができ、数的優位と位置的優位を確保できる。韮高が不得意とした中盤でのパス交換の可能性が広がる。また横パスでの遊び、攻撃準備のタメをつくることができる。ダメならDFから何回もやり直せばいいし、サイドチェンジを考慮して左右に揺さぶり、相手を疲れさせることができる。航空のGKを交えたDFラインでの攻撃準備のポジェッションは勉強になると思われる。

中盤での韮高は、あまりにもお互いの連携が取れていなかった。中盤でのパスワーク、ビルドアップは見られなかった。両サイドハーフがワイドに張り出してしまって、そこで滞留してしまった。よってSBが顔を出すスペースがなく、もっと流動的に中に絞ってボランチとの距離を短くすればよかったのではないかと考える。中盤でのリターンパスやダイレクトパス、そこからのサイドチェンジなど、ゲームを作るイメージが乏しかった。サイドでボールを保持すると(もちろん相手はサイドへと追いやる)、180度しかピッチエリアはない。真ん中では360度のパスコースが確保され、多くのイメージが沸くプレーが可能となる。パスを出したら動き出しさえすれば、前にも後ろにもたくさんの三角形ができる。体の向きの良い選手へボールを渡す原則を優先すれば、相手ゴールへ向かってシンプルにビルドアップができる。

FWは楔のパスが入ったときには攻撃の起点となる。前を向くことができれば最高だけれど、そう簡単には相手もやらせてくれない。ボールを失わないポストプレーに徹して、攻撃の人数を増やす時間をつくることがあってもよかった。東海戦では攻撃の起点がつぶされ、攻撃参加を思いとどまらせてしまって中途半端となった。裏を狙うタイプの選手だったので、ハーフライン付近ではしっかりとビルドアップする意識が必要だった。ハーフラインを過ぎてからは、ボールに関わる動きが求められる。よく言われている、人もボールも動く攻撃である。ボールに関わる選手に加え、プレーに関わる選手を増やすことができれば、厚い攻撃が可能となる。

後は、韮高の得意とするサイド攻撃を繰り返しやり続ければ、そしてゴールに向かう人数を増やせば、ゴールは出来るのではないかと思う。負けてしまったチームに力がなかった訳ではなく、勝ち進む力は秘めていた。力の出し方、プレーの表現の仕方がちょっと違っていただけである。

韮高は県内を勝ち抜き、全国でも勝ち進むことのできるポテンシャルのある集団である。試合中に自らで修正する自浄作用みたいなものは、身につけなければならない。それには仲間に厳しいことも要求し、強くなるための下地をしっかり作っていかなければならない。引き続き、韮高サッカー部に期待したい。