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インターハイ準決勝 韮 崎-山梨学院

インターハイ準決勝 韮 崎-山梨学院

 

結果

5月17日 土 11:00キックオフ 韮崎中央公園芝生G

韮 崎 1-2(0-0)延長0-0(0-1) 山梨学院

 

熱い試合だった。両校共に「勝ちたい」「絶対に勝つ」という勝利への執念のようなものが伝わってきた試合だった。内容、試合運びも見ていて奥深く面白い展開と采配だった。ピッチに立つ選手の必死さとギリギリの状態でのワンプレーでの集中したアクションは、見応えがあった。シュートが少ない試合だったものの、最後の体を張ったDFのプレーや組織的なディフェンスが光った試合だったように思える。フラットな視点で観ることができたならば、随所に良いプレーを見ることができ、ゴール前の攻防は見る価値のあるものだったと思う。

 

前半は両校ともに相手をけん制し、プラン通りの展開をしていた。ゴールが生まれるとすると、どちらかと言うと韮高の方が可能性はあった。暑い時、疲れが出た時に何ができるか、または普段通りのプレーが出来るかがポイントだと思っていたので、後半に試合が動くだろうと予想できた。

後半は開始早々に決定機が韮高に巡ってきた。残念ながらそのビックチャンスを決めきることができなかった。飲水後に試合が動いた。ロングスロー病というべきか、何でもないロングスローに足が凍り付いた韮高DFは、体が動かずにボールウォッチャーとなり、失点。やられてはいけない失点パターンで学院に1点を献上してしまった。

学院がボールを支配する時間が多かったとはいえ、チャンスは韮高の方が巡ってくる時間が少しずつ増えてきた。普通ならば入っている得点が、相手GKのファインセーブで阻止されたシーンが2つほどあった。韮高が学院ゴールに迫るプレーは迫力があり、学院DFが修正しきれていない姿を垣間見られた。

韮高の分厚い攻撃でGKが絶対に獲れないコースへシュートが決まり、同点に追いついた。その後も韮高が決めきることができたチャンスがあり、普通に勝ち切ることができたけれど、1-1で延長に突入してしまった。

両校交代カードを全て使い切り、ギリギリの闘いとなった。勝機は明らかに韮高にあった。学院は暑さと疲れからかバタバタとしてきていて、ほころびが随所に見えていた。韮高のシュートがゴールポストに嫌われたり、相手DFのハンドらしいプレー(プレーは流された)でPKかと思わず喜んでしまうシーンもあったりで、韮高へと勝利の流れが大きくなってきていた。接触プレーで両校負傷退場となり、交代枠を使い切っていたので、10対10の試合となった。延長後半でいつも通りのプレーをした学院が決勝点を奪った。明誠戦での得点パターンであり、繰り返しやってきた(であろう)トレーニング通りのクロスからの折り返しの得点だった。学院は枠内へ放ったシュートはほとんどなく、シュートらしいシュートが全て得点に結びついた結果となった。少ないチャンスを決めきる力は素直に素晴らしいと思えた。逆に韮高は学院より決定機が多かったのにもかかわらず、決めきられない結果が敗戦につながった。

今年の学院は、10回やって1回~2回勝てるというような強さはない。10回やれば5回~6回は勝てる力を韮高は持っている。韮高が勝つことは波乱ではない。学院が弱いというより韮高が相当の力をつけていることが、準決勝で証明された。もちろん選手個々の今後のレベルアップと成長という課題は大きく残る。それでも選手権に向けて大きな感触と手応えは掴むことができた。しっかりとした選手起用を含めた戦略と戦術、ゲームプランで勝利への道が開けることも実証できた。

下を向く必要はない。しっかりとした道筋が見えている。厳しい競争の中に身を置き鍛えることで、ここぞという試合の局面で納得いくプレーができる。苦しい日々を、貴重な時間だったと思えるように1日1日を大事にしたい。