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関東大会 韮 崎-武 南

関東大会 韮 崎-武 南

 

結果

5月28日 土 10:00キックオフ 新横浜公園球技場

韮 崎 2-3(0-2)延長(0-1/0-0)武 南

 

古豪、伝統校の部類に入る両校なので、はるか昔の懐かしい対戦の記憶や、その時代、時代のどうでもいいような記憶もフラッシュバックして、様々な感情が入り混じる楽しみな試合となった。

1年から10番を背負う年代別代表に選ばれたこともある武南の選手を見るのも楽しみだったし、現在の韮高が関東でどのくらい通用するのかを見るのも楽しみだった。

 

韮崎-武南の試合を楽しみにしている高校サッカーファンがたくさんいた。高校野球の関東大会は観客無制限で開催された。知り合いが2週続けて栃木まで学院を応援に行った。それなのに高校サッカーは、部員でさえ会場で観ることができない悲惨な状況だった。本来ならば、スポーツの先頭に立って引っ張っていかなければならないサッカーが無観客を続けている。世界との差は開く一方だろう。空は晴れ渡り、気持ちの良い風が吹く広々としたグランドは、はてしなく何とかウイルスとは無関係だった。

 

結果は武南に延長で負けてしまった。武南が勝つ確率と同様、韮高が勝つ確率は高かった。韮高の2得点はゴールへの気持ちが感じられた泥臭くもしっかりとチャンスをものにした得点だった。一方の韮高の前半のPK、FKでの2失点は、その前のプレーからのほころびからだったので、防ぐことが出来た失点であった。もちろん武南の10番がもたらした2得点で、エースが活躍したと言える。それでもなお、組織的守備の約束事、リスクマネッジメントに基づくシンプルなプレーを心がければ、普通に防ぐことができたもったにない失点だった。仲間内で話していたことがあって、やられるとしたらこんな感じだろうと予想していた通りになったことも残念だった。

 

0-2で折り返した後半は、韮高の追いつく強さを見ることができた。はっきり言って前半0-2だったら、普通は敗戦色が強くなる。韮高の諦めないプレー、ゴールを目指すプレーを続けた事が、得点につながった。CKからとロングスローからのゴール前での粘り強い攻撃は、武南も無難に乗り切れなかった。韮高が全国レベルで戦えるチームであるという証明でもあると言える。2-2からの延長はどちらが勝ってもおかしくはなかった。

 

全国でも恥ずかしくない闘いができるとはいえ、埼玉を勝ち抜いてきた武南だけあって、(当たり前だけど)簡単には勝たせてはもらえなかった。交代選手のプレーパフォーマンスは武南の方が上だった。3失点目は分かっていてもついていけない動きをした。あの時間帯で、リスクを冒したチャレンジがあった。疲れている選手がやられたらどうしようもない動きを、途中出場の選手がやり3点目を挙げた。

 

それにしても武南の選手は魅力的だった。山梨には見ることのできない面白い選手、個性的な選手がいた。僕が韮高にいればいいなと思える選手が3人ほどいた。今ではあまり聞かなくなった甲州弁の「しわい選手」が武南にいて、山梨ではほとんど見られなくなった希少種だった。

関東大会は県内にいては体験することのない選手とのマッチアップがあり、経験値を積むことのできた試合だったと言える。試合の雰囲気であったり、駆け引きであったり、メンタル面でも収穫は大きかったのではないかと思う。

 

いずれにせよ、サッカーと同じく、切り替えが必要である。すぐにインターハイ予選が始まる。足りない部分、修正しなければならない部分、ウイークポイントはどのチームにも存在する。韮高も同じである。武南戦は、次につながる試合だったと後になって言えるような試合を、これからしなければならない。

 

 

 

あらゆるデメリットには メリットがある

ヨハン・クライフ