ニラニスタ発・蹴球思案処

蹴辞逍遥・晴蹴雨蹴

インターハイ準々決勝 韮 崎-駿台甲府

インターハイ準々決勝 韮崎-駿台甲府

 

結果

5月11日 日 10:30キックオフ 韮崎中央公園陸上G

韮 崎 0-0(0-0)延長0-0 PK3-2 駿台甲府

 

内容がどうであれ、結果が全てだとすれば、韮高は次につながる素晴らしい試合をした。できることなら得点を決めるべきところでしっかりと決めきって勝ちたかった。どちらがトーナメントの上に進むのにふさわしいかという視点で言えば、当然見たいサッカーは韮高であって駿台ではない。フラットな視点からしても、駿台のサッカーは全く面白みの欠ける魅力のないサッカーなので、おのずとトーナメントでは限界がある。DFラインでボールを回しているだけのサッカーは、あくびが出て、眠気を誘う。なんとなく攻撃をしていて、セットプレー頼みで点が入ればラッキー的な雰囲気が終始していた。よって韮高のDFは安定し、崩されることはなかった。縦パスさえ集中して準備していれば、怖くも何ともない。駿台はスタミナが致命的になく、連戦では前半持つがどうかと思っていた。予想通り前半はまあまあの試合をしたけれど、後半は足が止まって打つ手がなかった。選手層も薄いので交代選手が入ることで一気にチーム力はダウンした。前半に韮高が少ないチャンスを生かして決めきっていれば自滅していったのに、後半、延長と優しさにあふれ延命処置をしてしまった。スローテンポな試合に韮高が付き合ってしまっていた。試合を通してDFラインでパス回し酔っているチームには、勝つ気がないと思われても仕方がなく、雨の中でも普通にできるよというパフォーマンスは、はっきり言っていらない。自軍エリアでのパス回しは、どこか他でやってもらいたいくらいだった。勝利を目指さないサッカーの印象を受けた。韮高が駿台に合わせることなくもっともっとハードワークをして、精神的に追い込んでいけば勝利は容易かった。韮高の甘さのあふれた試合展開で厳しさが足りなかった。

韮高はどこでボールを奪うか、奪った後にどのように攻撃をするのかというコンセプトが定まっていないようだった。特にボールを奪った後のアクションには物足りなさを感じた。もっとフリーランニングをしてパスの選択肢を増やすというより、相手の守備の的を絞らせない攻撃ができるような気がした。球際の弱い選手がいて転んでばかりいたので、ピッチコンディションが悪いと出来ない選手に映った。常に韮高は勢いがあって、駿台の限界を垣間見ることができた。あれでは県ベスト8が精一杯といったところだろうか。

延長前とPK前のベンチワークを見ていると、韮高の勝利は確定的だった。けれど何が起こるか分からないのがサッカーである。両チーム1人目が決め、先行の韮高が2、3人目をセーブされてしまった。サッカーは本当に分からないな~と思っていたら、駿台が3人目、4人目、5人目と外してくれたので、さらにサッカーは分からないものだな~と改めて思ってしまった。

PK前には駿台は疲れ切っていて、試合が終わったかのようだったのに対し、韮高は選手、ベンチ全員が純粋な勝利を呼び込む姿勢と意欲を感じた。PKを蹴る選手達は、自分たちの選手が蹴る時にも「決めてくれ」的な神頼みをする姿より、相手GKの性格まで含めた動きや特徴を見極めているようだった。韮高のPKを蹴る選手は冷静だった。韮高の4、5人目のキッカーはそのようなGKの癖をあざわらうかのようなコースをついた。特に5人目の選手のキックは、ど真ん中を狙った。熱い気持ちが入った冷静なシュートだったように思える。自分が蹴るまでにしっかりとした準備をしていて、1つ1つのPKに一喜一憂せず、平常心と冷静さを持ちあせたメンタルは素直に素晴らしいと思えた。目の前の現象にリアクションせずに、冷静でいることの大切さを改めて教えられた。

まだまだ韮高のポテンシャルは最大限に発揮されていない。層の厚い韮高なので、誰が出ても心配はないけれど、突き抜ける選手がいないことは気になる。この大会で、一気に殻を破って抜きんでた選手に成長できることができるチャンスがある。チームとしても個人としてもこのままでは終われない。勝利を呼び込むプレー、決定的なプレーが出来る選手が現れれば、県代表は韮高となる。

 

 

 

たった一度の成功のために

どれだけ多くのチャレンジをしているのかが

サッカーでは重要なのである

フース・ヒディング