サッカーから人種差別を思案する
メジャーリーグの大谷のニュースは連日、話題となっている。TVをほとんど見ない僕でもそのニュースについては目に入っている。ワールドワイドなサッカーに注目すると、レアルマドリードのベニシウス・ジュニオールへの差別が大きな問題となっている。日本も国を挙げてのSDGsや差別に取り組んでいるのならば、もっとベニシウス・ジュニオールの事件を大きく取り上げたほうがいいような気もするけれど、サッカーに携わっている人間だけでも、この事件を共有し自らの行動を見つめ直す機会としたい。
サッカーに特化したSNSのニュースでは、未だこのニュースの続報がある。スペイン1部リーグのラ・リーガ第35節のバレンシア-レアルマドリードの試合(現地時間5月21日)で、ベニシウス・ジュニオールに対して相手サポータから人種差別的な暴言やチャントが繰り返し浴びせられた。
ベニシウス・ジュニオールはこの試合に限らず、今年の1月と昨年9月のアトレティコ・マドリー戦のダービーでも人種差別チャントを繰り返されている。また
昨年12月のバジャドリード戦や今年2月のマジョルカ戦でも人種差別の標的となっている。
残念ながら日本ではその事件は大きく報道されていない。このベニシウス・ジュニオールへの人種差別については、多くの記事があるので検索してもらって、自分自身で感じてもらうことが良く、また将来のサッカーをしている子供たちには、その映像を見せ、世界では何が起きているかを知ってもらうことが良いのではないかと思っている。
僕が見てもらいたいことは、ベニシウス・ジュニオール本人ではなく、ピッチに立っている他の選手の行動である。同じセレソンの仲間のロドリゴやミリトン、同じくW杯決勝でPKを外して人種差別に見舞われているチュアメニや常に誹謗中傷の的であるドイツ代表のリュディガーの立ち振る舞いである。GKのクルトアや大御所のモドリッチ、クロースもどのようなアクションをしているかは、1人1人がしっかりと見る必要がある。
監督のアンチェロッティがベニシウス・ジュニオールに言葉を懸けるところも見ておきたい。その発言も後から分かったので、それを踏まえるとやはりすごい監督なんだなと分かる。
まだDAZNで見ることができるので、試合の65分から最後までは見届けたい。スタジアムの雰囲気は異常であり、一触即発のピッチの中もドキドキである。アディショアナルの95分に、乱闘が起こりベニシウス・ジュニオールにレッドカードが出される。ピッチを後にするベニシウス・ジュニオールは、「お前ら2部に落ちろ」というジェスチャーを行い、スタジアムがまた異様な雰囲気となる。
世界では多様性を認める流れへと進んでいる。多様性を認めない多様性についてはどうなのだろうかということも思い浮かぶ。我々はサッカーで世界につながっている。多くの日本人より多くのアドバンテージがあり、サッカーを通じて入ってくる情報は限りなく多い。それを活用するかしないかは本人次第だけれど、今後もサッカーというフィルターを通して見識を深めていきたい。