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サッカー本 100冊到達記念

サッカー本 100冊到達記念

 

FCバルセロナ

 

細々と始めたサッカー本紹介(というか読書感想文)が、100冊目となった。サッカーという括りの中で、世界中で驚くほど多くの本が出版されている。さらにサッカーをカテゴライズしていくと、戦術本、監督本、育成本、トレーニング本など多岐にわたる。

100冊到達ということで、「FCバルセロナ」にスポットを当てる。バルセロナのサッカーに魅了され、影響を受けた人々は世界中に広がっている。むしろそのサッカーに影響を受けなかった方が希少である。

 

21世紀、世界のサッカーを最も加速させたサッカークラブはどこだろうか?

「どこどこのクラブが好き」という主観的な感情をまっさらになくせば、ほぼすべての人が「FCバルセロナ」を挙げるだろう。

 

日本だけでも、多くの人がバルセロナについて書いている記事を目にする事ができ、その多さは他のチームに比べると群を抜いている。チームの歴史から監督、選手まで映像と資料、データがたくさんある。なので、バルセロナの個人的体験を綴る。

 

僕の初めてのバルサ体験は、1992年のトヨタカップ決勝、FCバルセロナサンパウロFCだった。今からちょうど30年前のその試合を、昔の国立競技場で観た。ドリームチームと言われたバルサは、クライフが監督で、グラルディオラはピッチにいた。そこからバルサと付き合いが始まった。92年がバルサをしっかりと意識した始まりだと言っていい。

2回目にバルサを確信的に意識したのは、10-11チャンピオンズリーグのファイナル、対マンチェスターUとの衝撃的な試合だった。そこからの覚醒は、「どうやったらバルサを倒すことができるか」という視点だった。ペップが監督になり、ティキ・タカが世界中を席巻した。黄金期を迎えたバルサのサッカーはスペクタルで見ている者を魅了した。多くのサッカー関係者がポジェッションサッカーに傾倒し、バルサのサッカーに影響を受ける一方で、「打倒バルサ」を掲げた人達もいる。

 

FCバルセロナは、僕のサッカーへの熱を上げるきっかけとなった。本棚にバルサの本が増え、その多くが翻訳本であり、サッカーに対する思考の幅を広げてくれた。サッカー本を紹介するにあたり、第1回目が羽中田さんが翻訳した『バルセロナが最強なのは必然である』だったことは、何かの偶然であり必然でもある。

 

21年、メッシの退団でバルサの1つの時代が終焉した。チャンピオンズリーグでは2シーズン連続でグループステージで敗退し、迷走の時代が続く気配を見せている。歴史的に見ると、1つの時代を築いたとはいえ、バルセロナの全盛はあまりに長く続き過ぎたと思える。それ故に、クラブという組織自体が少しずつ歪み、スタッフ、選手とあらゆる部分にほころびが出てしまった。気が付いたときは、今のような現状になってしまった。「沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす」という言葉が示すように、サッカー界のみならず、人の世の常であるので、仕方のない事であると思うしかない。

 

気が付けば、長い付き合いになってしまったFCバルセロナなので、これからも出版される本は読んでいきたい。