ニラニスタ発・蹴球思案処

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選手権県予選 3回戦 韮 崎-甲府東

選手権県予選 3回戦 韮 崎-甲府

 

結果

10月22日 土 10:30キックオフ GF穂坂

韮 崎 1-0(1-0)甲府

 

 

国立への1歩が始まった。101回目の選手権の初陣は、今まで選手権で勝ったことのないグリーンフィールド穂坂グランドだった。何が起きてもおかしくはない初戦は、何も起きることなく静かな試合となった。騒がしかったのは甲府東のベンチくらいで、見据える先の違いを見せつけた貫禄のある試合だった。

僕は10-0で勝つと思っていたのだけれど、サッカー仲間は帝京三戦を念頭に、1-0くらいでちょうど良かったと言っていた。

どうしても初戦というのは、固くなり気持ちも高ぶっているので、良い方向へと力を向けることが難しい。日大明誠も初戦で敗退した。そんな中、韮高は普段通りの落ち着いた試合運びをした。甲府東はドン引きの5-4-1の完全リトリートの全員守備だった。おそらく韮高にとっては想定内であり、人数をかけたゴール前でどのようにチャンスをものにするかにチャレンジするだけだった。早い時間帯で先制点を奪いたかったけれど、前半で点が獲れればいいかなというリラックスした雰囲気だった。しいて言えば、試合を通して攻めっぱなしだったので、追加点が欲しかった。

甲府東は、攻撃選手がいないので、シュートは前半0、後半は枠を大きく外したシュートが1本だった。圧倒的な力の差があり、何かが起こる気配は皆無だった。穏やかな眠りを誘う試合だったと言える。韮高のベンチはもしかしたら眠くなってしまったかもしれない。一方の甲府東のベンチは、試合中を通してうるさかった。雑音にしか聞こえない声は、韮高の選手を乱すための作戦かも知れないと思ったほどである。一方的かつ見せ場のない試合展開に加え、両チームのベンチワークがあまりのも対象的でイソップ寓話の『北風と太陽』を思い出してしまった。

余力を残し過ぎての勝利は久しぶりだった。帝三戦に向けて、秘密兵器を温存できたり、攻撃オプションも出すことなく、普通に勝利できたことは、次につなげた試合だった。スタンドで変に力んでいる人もいたけれど、そういった雰囲気に惑わされず、選手達は熱く冷静にプレーしたと思う。

第101回全国高校サッカー選手権大会の本大会出場に向けての1発目の試合に、韮高は新ユニホームで臨んだ。懐かしくも将来性を感じざるを得ない緑のユニホームだった。胸に刻まれた「韮崎」の文字は力強く、背番号のフォントもデザイン性が抜群に良い。左腕にデザインされた3つの輪も復活した。強い韮高が戻りつつある。今年の選手権は、本来あるべき韮高の姿へ復活し、新しい歴史を刻む大会になる予感がする。勝利を全員でつかみ取ってもらいたい。