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『中田英寿 日本をフランスに導いた男』

2月サッカー本
 
中田英寿 日本をフランスに導いた男』

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著 者 高部 務

発行所 ラインブックス
1998年3月25日発行 
 
中田英寿に関する出版物は数多いけれど、幼少時代からプロデビューまでの足跡が詳細に書かれている本はこの本が1番である。従って韮崎高校時代のヒデのサッカー生活も事細かに書かれている。
 
目次
1 父親譲りの体と頭脳 中田英寿誕生
2 恵まれた環境の中で 甲府北中時代
3 見出された才能 ジュニアアユース代表入り
4 監督顔負けのルーキー 韮崎高校入学
5 世界との遭遇 U-17世界選手権
6 2年生のチームリーダー 韮崎高校編①
7 アジアの壁も一発で突破 アジアユース選手権
8 幕切れもクールに 韮崎高校編②
9 3チームに『就職活動』 ベルマーレ入団
10 世界への水先案内人 ワールドユース オリンピック ワールドカップ予選
11 クールガイはご機嫌ナナメ フランス前夜
 
96年アトランタオリンピックのブラジル戦、97年フランスワールドカップアジア最終予選でのイラク戦とヒデの活躍は今でも記憶に残る。後に「ジョホールバルの歓喜」と呼ばれることになったイラク戦でのヒデは若干20歳。ヒデがチームを引っ張り、初の本大会出場を手にした。
 
この本は今から18年前に出版されている。そして中田英寿に関する多くの出版物の中でもヒデに注目した最初の本である。日本がワールドカップに出場する前の話であるから、随分昔の話であるような気もするけれど、つい数年前の話でもあるような気がする。
著者の高部さんは山梨県の出身である。取材もしっかりされていて、ヒデの些細なエピソードが多く載っている。
 
僕がこの本の中で一番気に入っているところは、韮崎高校時代のヒデではない。ヒデの中学時代である。様々な高校からのオファーの中から、韮崎高校を選択したヒデの事が書かれている箇所である。そして卒業文集のヒデの書いた詩に感銘する。中学生のヒデの覚悟を感じることができる前向きな詩である。

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「目標」
 
力強く歩きたい と思った
くたびれて 疲れ果てて
自分に負けそうになりながら
幾たびも幾たびも 思い直して
もっと力強く進みたい と願った
 
そして 新しい年が来ると
その新しい年が笑いかけてくれた
汚れていない 新鮮な風と光が
いつでも むこうから声をかけてくれた
きみ 目標は きみが選んだ のだよ
 
自分で選んだ 一つの大事な目標が
むこうから私を救ってくれるのだ