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中田英寿 韮高講演

中田英寿 韮高講演

 

山梨日日新聞 22.9.22 記事】



大村智さんと中田英寿さん 世界へ羽ばたいた卒業生2人が語り掛ける 山梨県立韮崎高校の創立100周年の記念式典  | 山梨のニュース | UTYテレビ山梨 (1ページ) (tbs.co.jp)

 

韮崎高校創立100周年講演会で中田英寿が講演した。現役引退最後の試合が、2006年ドイツワールドカップ、ブラジル戦だった。世界中の多くのサッカーファンを魅了したプレーは今でも記憶に残っている。年代別の日本代表、セリアA時代のヒデのプレーは、サッカーの素晴らしさを発信し続けた。

 

韮高生がヒデの講演を聞くことができるのは、僕らの世代にとってはとてもうらやましいことで、幸運なことである。一方、現役サッカー部員にとってはどうだろうかと考えた時、現在の高1が生まれた時にヒデが現役引退したので、現役のプレーをリアルタイムで見た記憶はない。それでも今の時代、数多くの映像が残っているので、そのすごさは伝わると思っている。スーパープレー集から対談、ドキュメントまで目にする事ができる。また親などから「中田英寿はすごかった」という語り草を1度ならず耳にしていると思われるので、素直にすごかったんだど受け入れた方がいいような気がする。

現役サッカー部員にはリアル感が薄いとはいえ、同じ時間を共有できたことは財産であり、今後のサッカー生活を(目に見えないにせよ)より豊かにする刺激になったと思っている。選手権の予選直前というのも、何か良い流れの予兆かもしれない。

 

中田英寿という存在が大きすぎて、サッカー部に限らず韮高OBの方々は、ヒデに良い印象を持っていない人がいることも事実である。「中田英寿は嫌いだ」と言っている人は僕の周りでも少なくない。もちろんそのような意見を持っている人を否定はしない。ただ、ヒデが講演することに決まり、手のひらを返したかのように態度を変える人間がいるので、その辺はどうかなと思っている。人間として信用できない部分で、その人の人格をも疑ってしまう良い事例を見ることができた。「あの人、散々文句言っていたのに・・・・」と仲間からも連絡が来た。

 

僕は中田英寿は昔から大好きである。サッカー選手としても1人の人間としてもその振る舞いを尊敬できる。プレーもさることながら、ピッチ内外での存在感は抜群である。どうしてあんなにピッチで存在感があるのだろうと、昔は試合中にヒデばかりを目で追っていたこともある。

中田英寿写真集で、最後にほんの少しだけ写真家の宮本敬文が書いた文章がある。

ニューヨークの街を中田君と2人で歩いていると色々な人が振りかえります。レストランで彼の動きを他のお客さん達が目で追います。

サッカーはあまり盛んでないニューヨークで、彼をスター選手として人々が知っているわけではありません。

自然な姿の中で彼の人間としてのオーラ、気のようなものが人々を魅了しています。

彼の前では僕は写真家であるまえに人間でいたいと思いました。彼の威厳は静かで凛としています。

 

この後も文章が続くのだけれど、やはり中田英寿という人間の放つ雰囲気を感じることができる的を得た文章である。そういったものに魅かれているファンはたくさんいる。

 

中田英寿という人間のものの見方、とらえ方、考え方は、素直に学ぶべきである。何よりも同じ韮高サッカー部でサッカーをしたOBであるので、ヒデの言動は体や脳に沁みやすいのではないかと思う。さらに心強いのは、ヒデの高校時代のキャプテンが現在の韮高の監督であることである。目に見える力に変換できることを期待したい。