ニラニスタ発・蹴球思案処

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カタールW杯 02

カタールW杯 02

 

グループステージの全日程が終了し、いよいよノックアウトステージに突入した。当初の僕の予想を覆して、日本代表は勝ち進んだ。ワールドカップの底知れない奥深さがたくさん潜んでいた。

「難しいことは考えずに、サッカーそのものを純粋に愉しみながら見ることが、ワールドカップを見る秘訣だ」とか言っていながら、今大会の戦術トレンドが見えてくるとうれしい。守備に関しては、どの国もしっかりとした守備ブロックをつくっている。DF、MFの2列の守備ブロックは、統制がとれていて、芸術的な美しさを感じる。ブロックの高い、低いは、ボールの奪い処によって国によって違うけれど、守備ブロック形成は、世界共通の常識の守備戦術となった。それに加えて、ハイプレスの発動も頻繁に見ることができた。高い位置でボールを奪い、素早くゴールに向かう積極的な守備からの攻撃へのトラジションは、こちらも見ていてうっとりしてしまう。サッカーが向かう戦術の未来は、この守備ブロックをどのように切り崩すかだと思う。敵の前、背後のスペースの考え方、捉え方が攻撃を進化させていく。スペースを生み出す動き、スペースを活かす動きはボールを持っていない選手により多くを求められる方向に進んでいくのではないか。

【参考】

北欧で活躍中のスペイン人指導者が探求する「守備ブロック」の奥深さ | footballista | フットボリスタ

 

試合を制する"スペースの支配"を「幾何学」によって再解釈する | footballista | フットボリスタ

 

4年に1度のワールドカップの度に出現するにわかファンが、街やスポーツバーで大騒ぎをする光景は、とても良いことだと思う。自らの素直な感情表現を力いっぱい出せる時はそんなにない。ワールドカップを愉しむ、体感するという側面では、もっともっと盛り上がってもらいたい。そうすれば、普段サッカーに興味が薄い人、代表の試合しか見ない人が、今以上にサッカーに近づくことができる。喜びや悔しさも含めた新鮮な感情や、新たな発見に出会うことができる。カタルシスを感じる(得る)ことができるシーンやプレーが、ワールドカップには凝縮されている。なぜこれほどまでに、世界中の人々を熱狂させるのか。もうしばらく、世界の祭典に参加したい。