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ユースリーグ第10節 韮 崎-日大明誠

ユースリーグ第10節 韮 崎-日大明誠

 

結果

9月25日(土) 10:00キックオフ GF穂坂

韮 崎 5-0 日大明誠

 

ユースリーグの後期日程がコロナの影響で大幅変更となり、ようやく試合を開催するところまで漕ぎつけた。試合ができる喜びを、プレーと結果に結びつけられるかがポイントだった。私学の一大勢力の日大明誠を5-0で撃沈させたことは、とても評価できる。勢いそのままで選手権に臨むことができることはもちろん、高ぶる気持ちをコントロールしてチームに貢献するプレーが出来たことは収穫である。結果に結びつけることは、思っている以上に難しい。明誠相手に5得点という圧倒的な試合ができることは、韮高の成長の証である。ユースリーグ今季最多得点であった。

毎年のことながら、韮高は選手権前の9月に失速する。けれど今年はそれがない。大きな期待を形として残すことのできる貴重な年代である。誰が出ても、誰かが出ていなくても、韮高としての総合力は変わらないと思っている。そしてここからさらに力をつけることも可能である。

コップに半分水が入っている。その水を見て、「まだ半分しか入っていない」と思うか、「もう半分も入っている」と思うか、人間の価値判断基準が絶対的なものではなく、相対的な基準であることを考えるべきである。思考を洗練化することにより、サッカーでも今以上に伸びる見込みはある。

後期リーグが始まったと思ったら、この1試合だけで選手権による中断となる。カウントダウンが始まっている。やるべきことはたくさんあるけれど、まだ時間が残されている。近年の韮高の中でもトップレベルの結果を残せる集団である。どんなに上手い選手がいても、どんなに素晴らしいプレーをしても、勝てない時は勝てない。そして試合はやってみないと分からない。最後の最後で勝利をたぐり寄せることのできるチームになるように、これからさらに成長して欲しと願う。

 

 

1人でも

1人でも

 

弱い自分に負けて、手を抜いてしまうことがある。また気分次第で、さぼってしまうことがある。チームとして、組織として1人でもそのような人間がいると、それを許しているチーム、組織とみなされてしまう。たとえどんなに良いプレーをしたとしても、本気で取り組んでいる仲間に対し、とても失礼な行為である。自分自身のためにならないだけでなく、チームに迷惑をかけることを考えたならば(もちろんそのような選手は考えないだろうけど)、上手い選手であってもマイナスの分子となる。個性がある選手は独自のものを持っていることは認める。けれど個性と言うものは、チームの中で生かされて初めて意味があるものである。チームとかけ離れた個の能力の発揮が、集団スポーツとしてのサッカーにおいて、何の意味があるのだろう。

サッカーの上手い下手は関係ない。実現すべき目標に向かって、常に全力で取り組む姿勢(心)は、全選手が同じような高いレベルでありたい。スタメンは上手い選手が上から11人出場できるわけではない。精神性に優れた選手がいて、その見えない部分で全選手が心一つになっているならば、強いチームとなる。実際のところ、試合に出場できている選手はそのような部分で秀でているとも言える。

弱い自分は誰でも持ち合わせている。弱い部分を認め、今、自分に何が足りないかが自覚できれば、今の自分より前に進むことが出来る。気分が乗らない時やモチベーションが上がらない時は、夢や目標、自分が到達すべき場所に想いを巡らせてみる。本気で実現しようと思えば、とてつもないエネルギーをもたらせてくれるものである。

心一つになったチームは強い。1人でもチームのベクトルに合わせることが出来ない選手がいたならば、勝利は遠いものとなる。選手個々の目標が、チームの実現すべき目標と同じであれば、そう簡単にはやられないチームになる。

 

 

ラストスパート

ラストスパート

 

ラソンや受験勉強でラストスパートという言葉を耳にする。どのスポーツにおいても、最後の最後まで力を出し切れる選手でありたい。高校3年間の最後の大会である選手権が目の前に迫っている。1000日の高校サッカー生活は、2年間で730日を消費してしまう。最高学年には残された日数は270日しかない。270日というのは県代表を勝ち抜いた高校のみが活動できる日数であり、ほとんどの高校は180日程度(またはそれ以下)しか、高校サッカーをすることができない。

韮高に限って言えば、県大会の決勝まで勝ち進んだとして、210日ほどである。9月に突入してしまったので、カウントダウンが始まっていると言って良い。最終局面を迎えた時には、ラストスパートが必要となってくる。ここからのサッカーへの取り組み次第で、大きな力を生む可能性がある。

韮高は4月にラストスパートで、監督交代というギアチェンジをした。100回大会への加速である。ここまでは、良い流れを作りだしていて、選手1人1人が持っている力を開花させている。

 

中国の書物で『戦国策』という名著がある。サッカーに対しても大きな示唆を与えてくれる書物である。その中の「秦策」に名句がある。

 

百里を行く者は九十を半ばとす

 

サッカーでは、最後の最後まで何が起こるか分からないし、最後の最後に必ず何かが起こる。この言葉通り、ここまできてもまだ半分であることと、最後まで気を緩めないことと、追いつき追い越すチャンスは残されていることを心に刻まなければならない。

何よりサッカーは人間がするものなので、人間性が高い集団であれば、良い結果を残す可能性も高い。現在の状況は大きな制限がかかり、思うような活動は出来ない。1秒も無駄にできない中で、自らを自制し、思考力を上げ、良い方向へと導いていかなければならない。どの高校も不自由な境遇にある。韮高の強みをこのような状況の中で発揮することこそ、韮高の強みである。

まだラストスパートで力をつけることができるし、追い抜くこともできる。残された日々の1日1日を全力で使い果たし、自分を高めるために迷ったらチャレンジすることである。飽くなき向上心と諦めない気持ちを持ちを抱き、サッカーに打ち込んで欲しいと思う。現実と未来を見据えた時、韮高にアドバンテージがあると思っている。

 

 

翌朝、目が覚めてみたら、チームが強くなっていたということは絶対にない

反町康治

 

ビエルサライン

ビエルサライン

 

サッカーとは関係ないのだけれど、杪夏(びょうか)という言葉をしみじみと感じ、過ぎ行く夏を思い返す。この夏は天気が悪い日が続き、外に出ることができなかった。座学でサッカーについて思案したことを記しておく。

 

ビエルサラインと呼ばれているラインの提唱者は、アルゼンチン人のマルセロ・ビエルサである。僕が初めて名前を知ったのは、02年日韓ワールドカップのアルゼンチン代表の監督だったことからである。結果と実績を積み重ねて、今現在は、確固たる地位を築き、ビエルサの心棒者も存在する。日本でビエルサの本がもう少し出版されればいいなと思う1人である。10年南アフリカ大会ではチリの代表監督となりさらに知名度を上げた。W杯後は日本代表の監督候補にリストアップされた。今思えば、ビエルサが日本代表の監督になっていたら、また違った方向へ日本のサッカーが進んでいたと思う。

 

そのマルセロ・ビエルサは理論家で知られる。どちらかというと、正統派というより変人、マニアっぽいところがある。そのビエルサが提唱するビエルサラインは、ビエルサラインという一般的な言葉となって今では普通に使われている。

 

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座学の勉強を兼ねて、僕が作ったビエルサライン図である。ビエルサによると、ゴールポストと直線で結んだペナルティーエリアの中でのゴール確率は85%となる。現代サッカーの85%のゴールがこのエリアで決まっているとのことである。実際、前回のW杯ロシア大会では総得点169点のうち、ビエルサライン外の得点はわずか6点にとどまっている(20ユーロもデータが出たら見てみたい)。

 

得点はどのようなエリアからの得点なのか、また失点はどのエリアからやられているのか、をマッピングすることは今後に活かせるのではないかと思う。あらゆることに取り組み、やれるべきことをやることで、勝利の確率は上がると思っている。

 

得点のチャンス、失点のシーンを俯瞰図的に頭に入れておくことは必要である。攻撃ならば、いかにしてゴールの確立を上げるか、守備ならば、失点を最小限に防ぐかの目安となる。

そしてそのエリアにいかにボールを運ぶか、または運ばせないかで、勝利が近づくのではないかと思う。

 

マルセロ・ビエルサは他にもいろいろな戦術理論を構築している。ビエルサ125パターンだとか、分析3原則とか、得点パターン11種類とか、失点7通りパターンなど、勉強をする価値がある。ポジショナルプレーというスペインの理論と並行して、南米アルゼンチン出身のエル・ロコに注目したい。今季、監督として指揮をするリーズユナイテッドの戦い方も面白そうである。

 

史上最高サッカー狂人 マルセロ・ビエルサ伝説 | プレミアリーグ専門ニュース「Football Premier」 (football-premier.com)

 

 

第100回全国高校サッカー選手権大会山梨県大会 組み合わせ

第100回全国高校サッカー選手権大会山梨県大会 組み合わせ

 

ライブ配信された第100回大会の選手権山梨県大会の組み合わせが決定した。8月上旬にインターハイベスト8のみの先行抽選会があったので、今回はそれほど驚くようなトーナメントではなかったけれど、それを知らなかった高校サッカーファンは、組み合わせを見て驚いたと思う。

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韮高はラッキーな山に入ったかと思われがちである。けれど、100大会の記念すべき山梨代表となるには、物足りない組み合わせである。インターハイに優勝していれば、準々決勝で学院を倒し、準決勝で航空を倒し、決勝では明誠か帝三を倒すことができた。誰にも文句のつけようのない代表となる。

目標は県代表ではない。10年以上も長い年月、選手権の全国での活躍のない韮高であっても、全国出場が目標であってはならない。目標は、100回大会山梨県勢2連覇である。それくらいの意気込みがないと、山梨県大会は勝ち抜けない。

 

最上級生は泣いても笑っても最後の大会である。昨年のどうしようもない無様な負け方と、惨めな敗者の姿を同じように体験してはいけない。2年生は1年先には同じような状況となる。1年生はまだ2年後だと思っている時点で終わっている。選手個々が覚悟を持って立ち向かうならば、素晴らしくまとまりのあるチームとなる。

ピッチに立つ11人だけでは、選手権は勝てない。見えない力と誰にも見られることのない努力が選手を強くし、チームを最後の最後で引っ張ることができる。ピッチに立てない選手の総合力がチームを盛り上げ、勝利へと導く。これまでも勝負だったけれど、ここからも勝負である。ある意味、これまでのサッカーへの情熱、誠意が形として現れる大会となる。偽物が通用しない、本物だけが生き残ることができる真の大会である。全力で立ち向かって欲しいと思う。