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ユースリーグ 第8節 韮 崎-駿台甲府

ユースリーグ 第8節 韮 崎-駿台甲府

 

結果

11月28日(土) 10:00キックオフ GF穂坂

韮 崎 3-1(1-1) 駿台甲府

 

【山梨日々新聞 20.11.25記事】

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どこの高校でも選手権で引退しないで、サッカーを続けている。選手権はある意味、高校サッカーの終わりであるけれど、ある意味まだ、高校サッカーは終わっていなかった。このような記事やボールを追う選手を見ると、特にそう思える。

 

韮高サッカー部も最終学年の3年生の選手が、勝利を目指し、苦しみの先にある愉しみを享受していた。慣れ親しんだホームグランドであるグリーンフィールドでの試合だった。スタメンは全員3年生。熱くリラックスした入り方をした試合は、韮高ペースで進むものの、駿台のファーストシュートが見事に韮高ゴールに決まってしまった。その後、決定機前までの攻撃を何度も繰り返す韮高だったけれど、なかなか駿台のゴールを揺らすことができなかった。中から外から相手を揺さぶる攻撃を続けていけば、いつかはゴールが生まれるだろうと思われる試合内容だった。そして前半にしっかりとした崩しから見事なフィニッシュまでの完結したゴールが決まって1-1。

 

後半は駿台の足が止まり、ほぼ一方的な試合展開となるものの、ゴールが遠かった。「もらった」と思えるゴールが、ゴールポストに当たったり、伸び伸びプレーしている割には、フィニッシュに力が入りすぎていたりした。そしてようやくCKから追加点、仕掛けからのPKで3点目と駿台甲府を圧倒した。交代選手は全員3年生だった。仲間の中でも人気(というか思い入れの)のある選手がピッチに立つと、みんな盛り上がっていた(そういった気風は痛いほど分かっていたい)。

1年生の頃からピッチ外で一生懸命に動いていて、2年生になってもチームのために存在感を示す選手が、こういったピッチに立つと無条件にうれしい。そのような光景を目にすると、親目線でなくても全力で自分の持っている力を出し切って欲しいと願う。おそらく、選手権のピッチに立てなくても、チームへの貢献度は果てしなく大きいほど絶大だから、仲間でなくても見ている者は分かる。果てしなく下級生から同級生から信頼を得ている選手がピッチに立つと、雰囲気が変わる。ピッチに一緒に立つことができる幸せを、仲間が感じていることが表情で分かる。僕自身、素晴らしく幸せを感じることのできる時間だった。試合の中での時間の共有は、今は分からなくてもこれから先にゆっくりと分かってくるものである。

 

ユースリーグも残すところあと1試合、航空戦である。終わりが決まっている試合に全力を尽くすことのない選手はいないだろう。今の子供たちは「思いの丈」という言葉は知らないかもしれないけれど、古い人間はやはりサッカーに対して「思いの丈」をぶつけて欲しいと思っている。最終節に勝っても負けても、やり切った表情をする選手の顔を見たい。

 

がんばれ韮高サッカー部

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『マラドーナ自伝』

サッカー本 0071

 

マラドーナ自伝』

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著 者 ディエゴ・アルマンドマラドーナ

監 修 金子達仁

訳 者 藤坂ガルシア千鶴

発行所 幻冬舎

2002年6月10日発行

 

25日、マラドーナが60歳で死去した。衝撃的なニュースであった。マラドーナの死を悼み、この本を紹介する。

タイトルの通り「マラドーナの自伝」である。幼少期からのマラドーナのサッカー人生が綴られている。アルヘンチノス・ジュニオルズから始まり、ワールドユース日本大会、ボカ入団、ワールドカップスペイン大会、ナポリ時代、メキシコワールドカップ、イタリアワールドカップ、最後のワールドカップアメリカ大会とマラドーナの回想が時系列的に語られている。

 

本の終盤では100人の選手の名前を挙げ、1人1人の選手について想い出や選手の評価をしている。その99人目に中田英寿が挙げられている。あとがきというか解説というか金子達仁氏の『サッカーが好きでたまらない子供』という書き下ろしがこの本の最後にある。

 

いや、驚いたの何のって。本書が最初から日本の読者に向けて書かれたというのであれば、話はわかる。しかし、これは基本的にアルゼンチン人がアルゼンチン人のために書かれた本なのである。そこに中田英寿が登場するとは思わなかった。~略

すっかり舞い上がってしまった僕は、すぐに館野さんに「何が何でも版権を取ってください。この部分だけでも、日本のサッカーファンは絶対に読みたいはずです」と力説した。

 

 

この本の文体は、『ライ麦畑でつかまえて』の主人公、ホールデン・コールフィールドの語り口調に似ている。僕の勝手なイメージからマラドーナを想像しているので、なんとなく重なり合わせてしまう。そのことが、たくさんの超有名なサッカー選手の自伝と異なる趣を演出している。またページ数も数あるサッカー本に比べると、総ページ473Pと読み応えのある分厚い本となっている。

このような素晴らしい本が、日本語訳されて、じっくりと読むことができることは、大きな幸せの1つである。

 

最後の章「YO SOY EL DIEGO」でマラドーナは熱い想いを語っている。

代表チームでプレーすることが、僕の一番の誇りだった。いつだって、そうだった。所属していたクラブで何百万ドル払ってもらおうと。比べられるものなんて、何ひとつないんだ。だって代表チームの価値は金と比べられない、栄光なのだから。そのことを、今の、今後の選手たちはしっかり頭に入れなければならない。半端な気持ちじゃ、アルゼンチン・サッカーの神秘とセレステ・イ・ブランカのシャツを着ることはできないとね。

 

ユースリーグ 第7節 韮崎-山梨学院B

ユースリーグ 第7節 韮崎-山梨学院B

 

結果

11月21日(土) 10:00キックオフ 山梨学院和戸G

韮 崎 1-2(1-1) 山梨学院B

 

選手権大会の山梨県代表を決める決勝から間髪おかずに、ユースリーグが再開された。韮高にとっては3週間、試合から遠ざかる時間の猶予があった。

例年だと3年生は選手権をもって引退ということになるのだけれど、今年は多くの3年生がサッカーをやっているという話を聞いていた。ようやく私学と同様、ユースリーグまでやり切る選手が出てきたとその話を耳にした時にはうれしく感じた。コロナの影響で高校のサッカー生活が不完全燃焼という選手もいれば、大学を見据えてサッカーをする選手もいるのだろう。いずれにしてもサッカーに関わる姿勢は、素晴らしいものだと思うし、僕も見倣わなければならない。

 

試合は学院に先制され、前半終了間際にCKから追いつき、1-1で折り返した。後半に追加点を奪われ1-2で負けてしまった。結果はスコアが示す通り1-2での敗戦である。オシムの語っていることがある。

 

現在のサッカーはお金が絡みすぎ、どんなサッカーをしたかより、何勝したかを聞かれることが多いのだ。

 

結果もさることながら、オシムが言う通り、韮高が「どのようなサッカーをしたか」に注目しなければならない。3年間の最大の目標としてきた選手権が終わってしまい、想像しがたい敗戦のショックを受けていると思っていた3年生であったけれど、ユースリーグ再開初戦の山梨学院Bでは、11人すべてが3年生がスタメンであった。昨年までは3年生のほとんどが引退をしてしまったのに、今年は15人もの3年生がまだサッカーを続けているということで、新しい何かが動き出していると感じざるを得ない。

ボールを追う姿、ボールを追う表情は、選手個々の背景を知っていれば知っているほど感慨深く、感情移入してしまうほど、愉しそうにプレーしていたようである。

 

サッカーそのものを純粋に愉しむプレーを目にしたいなと思う。ユースリーグが無観客であることが残念でならない。今の韮高の試合ならば、サッカーの本質が垣間見れるかもしれない。目の前の1戦を全力で闘う姿は選手権と変わらない一方で、あらゆるものを払い落としすっきりした3年生のプレーは、応援している者にとっても、いつもと違ったサッカーのエッセンスを感じ取れるはずである。

 

残り2節。高校時代の最後の最後まで走り抜けて欲しいと思う。そのような姿を見て、何かを感じる1、2年生部員がたくさんいるのではないか。そのような姿は見えない力として、大きく韮高サッカー部を突き動かす力であると思う。

 

 

選手権決勝 日本航空-山梨学院 雑感

選手権決勝 日本航空-山梨学院 雑感

 

第99回全国高校サッカー選手権大会山梨県大会が終わった。3年連続決勝へ勝ち進んだ日本航空と、3年ぶりに決勝に顔を出した山梨学院との闘いだった。両校ともに無失点で勝ち上がってきただけに、そう簡単には点が入らないのではないかと思ったら、前半に航空が先制、学院が追いつき、後半には学院が突き放して2-1で試合は完結した。シンプルな試合であったが故に、多くの複雑な思いが募ってもおかしくはない。「高校サッカーはどこへ向かっていく(いる)のか」という漠然とした雑念とか、小、中の選手が見たらどのような感想を抱くのだろうかとか、(贔屓目に見て)韮高も選手権に行けることができたもったいない年代だったなとか・・・・。

 

個人的な感想は、否定も肯定もしない縦に速すぎる高速サッカーであり、ロングスロー合戦の大味で単調な試合だった。敵の背後を狙うロングボールを多用し、守備ブロックが作りにくいロングスローをこれでもかと連発した試合展開は、航空のプレッシングも、学院の選手個々が持つ攻撃イメージも出にくい試合となった。

高校サッカーでしか通用しないロングスローは、高校サッカーでは有効だった。航空、学院の先制点はどちらもロングスローからだった。一発でクリアーしにくいロングスローは、あえてゴール前でどちらに転がるか分からないカオスの状態を作り出す「カオスサッカー」である。どちらのボールでもない状況から、セカンドボールを拾えることができれば得点チャンスになるかもしれず、たとえセカンドボールを相手に拾われても、密集を意識的につくっているのでアプローチはしやすくなっている。思惑通りの攻撃ができないイチかバチかのロングスローは、オフサイドも適用されないので組織化された守備も機能しない。データサイエンスが進化した現代サッカーにおいては、データの無力化で対抗するのがやはり良いのかもしれない。ある意味、サッカーとはカオスなスポーツであるので、数値化されすぎている昨今においてはその反動がでてきてもおかしくはない。そのような視点からすれば、航空、学院ともにカオスを意図的に作り出す、最先端の攻撃手法だったのかもしれない。勝手に飛躍すれば、ヨーロッパではカオスなサッカーを突き詰めて、「カオスを支配する」=「オーガナイズド・カオス」という研究も行われている。

 

www.footballista.jp

試合を観戦しながらいろいろと思いを巡らせてしまったので、僕からすれば近年にない面白い観戦となった。ロングボールが多かったので、パス成功率は果てしなく低く、ロングスローが多かったので、プレー時間は短かった。止まっている時間がいつもの試合よりかなり多く、スピード感がない試合だった。このような試合展開を学院がつくり出したのか、航空がつくり出したのか、両校で作り上げてしまったのか、ベンチワークも含め交代選手の意図するところなんかも、いろいろと意見が分かれる試合だったように思う。

 

立冬まで生き延びることができない植物や生物がいるように、我が母校韮高も立冬まで生き延びることができない。八ヶ岳おろしの吹く前に敗れ続けている韮高ではあるけれど、100回大会には全国に顔を出して欲しいと強く願っている。

 

 

十年一昔

十年一昔

 

日川高校ラクビー部が、100大会目の記念すべき全国大会に、15年連続50回目の出場を果たした。社内にも日川ラクビーOBがいて、感慨深く話をしていたことと、韮高サッカー部のOBの2世が現役ラクビー部にいることもあり、気にしていた試合だった。

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抗いがたい時の勢力、時代の流れと結論付けてしまえばそれまでだけれど、やはり母校韮崎高校サッカー部が12年も全国選手権に出場できないことは哀しい。

2008年(平成20年)に、帝京三を延長で勝ち切っての34回目の全国選手権に出場して以来、沈黙を守り続けている母校サッカー部である。

時代のスピード感はさらに加速し、平成20年でさえ大昔の昭和の出来事のようである。そして出場回数は34回から前には進んでいない。

 

韮高の選手権県予選の過去を遡ってみた。

2020 ベスト8 甲府商 0-1

2019 ベスト4 日大明誠 2-3

2018 ベスト8 日大明誠 1-2

2017 ベスト4 帝京三 1-2

2016 準優勝 山梨学院 0-1

2015 ベスト8 山梨学院 1-2

2014 初戦敗退 甲府工 1-2

2013 初戦敗退 桂 0-1

2012 ベスト8 日大明誠 1―1 PK5-6

2011 ベスト4 山梨学院 0-5

2010 ベスト8 帝京三 0-3

2009 ベスト4 山梨学院 1-5

2008 優勝

 

12回大会中、ベスト4が4回、そして決勝まで進んだのはわずか1回である。この結果では全国を目指す高校と思うと悲惨な実績である。

何とかならないものかとあれこれと思案しながら時間を過ごし、細々とブログを更新していた12年前に全国選手権に出場した時の文章を発見した。その当時の文章を読むと、現在の自分があまりにも進歩していなくて恥ずかしく思う。

 

選手権での韮崎高校 2009.1.10

まさかでもないけれど、2年連続の1回戦での敗退でした。昨年は野洲だったので仕方がなかったと言えるけれど、今年は最多出場を誇る常連高の徳島商でした。

前半0-2、後半3-2。0-4から3点を獲ったとはいえ、明らかに個人レベルで劣っていました。チーム戦術は韮崎はたいしたことができないので、あきらめていましたが、あそこまでやられるとはとがっかりしてしまいました。

毎年、山梨全県、他県から集まってくる選手のために、純地元の韮崎出身の選手が数えるほどしかいないのですが、今年は8割が純地元で占められていて、その選手がどのくらい全国で通用するのか楽しみにしていました。

応援バスも50台ほど出たらしく、注目、期待はされていたものの、結果は残念でした。終わってみると、いろいろなところからいろいろ出てきて、総合すると「サッカー以前の問題がある」とのことです。やはりちょっとばかりサッカーがうまくても、まず人間として高校生として成長をしなければいけないのでしょう。選手のせいではなく、選手を取り巻く地元や指導者に責任があるのではと考えます。

 

とはいえ、試合に出られなかった選手を含め、3年間お疲れ様でした。高校での3年間で出会った仲間は一生の仲間になります。これからの活躍を期待します。

 

 

私も、駒沢へ応援に行きました

前半戦で1点でもゴールして置けば流れも変わっていたかも・・・!

これからも韮崎高校サッカー、頑張って頂きたいですね

 

 

前半の立ち上がりの決定的なシュートが入っていれば、流れはきたと思います。

今の2年生は今年より期待できるようです。17日から新人戦が始まります。どんなチームか観に行ってみます。

 

 

日川高校出場の高校ラクビーは100回大会を迎える。高校サッカー選手権大会は来年が100回大会である。韮高サッカー部にも奮起して欲しいなと思っている。このまま何もしないで後悔するか、何かアクションを起こして後悔するかを思案すると、もちろん後者である。