ニラニスタ発・蹴球思案処

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『フットボール批評 最終号』

サッカー本 0107

 

フットボール批評 最終号』

発行所 株式会社カンゼン

2023年3月6日発行

 

発売が楽しみだった季刊誌『フットボール批評』が今年の3月の春号(issue39)を最後に休刊となった。『サッカー批評』から分裂し、『フットボール批評』を立ち上げてから10年が経っての休刊である。

サッカー批評』が2018年に、そして『フットボール批評』が2023年に休刊となる時代の流れは、書店の本棚で2つの批評本が一緒に並んでいた頃が懐かしいと思っている人間には、とても哀しい出来事である。

 

最終号の特集は「眠れなくなるほど罪深い『PK戦』の話」である。

・PK戦を廃止せよ

・あのPK

・脳にもたらされるストレスは取り除けるのか

・「極上のPK戦」アナライズ

・PKグレーゾーン

・データから見るPK戦の本質

・最後は、運。

・他競技の決着のつけ方

最終号の特集が、PKにまつわることになるとは、なんとなく運命的であるような気がしないでもない。

 

フットボール批評』はサッカー専門の多くのライターの方々が寄稿した屈指の季刊誌だった。国内外問わず、世代の垣根を超え、サッカー(フットボール)の専門性に鋭く切り込み、深く掘り下げたそのスタイルに共感した。またサッカーに特化するあまりそこから派生する本が参考になったり、日本未翻訳本の紹介であったりで、僕のサッカーの考え方のヒントや方向性を示してくれたと思っている。

とにかくサッカー(フットボール)が大好きな人間が集まって、ワイワイとやっている感が伝わってくる雑誌だったように思える。誰もが名前を知っているサッカージャーナリストから、20代若手の新悦のライターまでが、サッカー(フットボール)に対して熱いものを持っていて、惜しみなく読み応えのある批評を展開した。

 

例えば、同じ内容の文章をネット記事で読むのと、本で読むのはどのような違いが生まれるのか、生まれないのか。おそらく読む人の受け止め方に違いが生まれるのではないかと思う。そうだとしたら、僕自身の場合は、活字として純粋な読み物として受け入れる人間なので、脳への伝わり方が異なってくるのではないかと思っている。本としての形態がなくなってしまうのは、心から哀しい。

フットボール批評』は、季刊誌でありながら、他誌を上回るクオリティーと、ジャーナリスト、ライターの強い想いが行間ににじみ出るメッセージ性の強さが際立った雑誌だった。

 

 

刻々と過ぎ去る「今」を意識することもまた、

歴史のひとつの意識の仕方である。

 

 

読み返したい『サッカー批評』または大切にとっておきたい『サッカー批評

 


過去に取り上げた『サッカー批評

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