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『サッカーの教科書』 勝利への裏ワザ188

サッカー本 0104

 

『サッカーの教科書』 勝利への裏ワザ188

編 者 サッカー技術研究委員会

発行所 株式会社データハウス

2010年3月1日発行

 

サッカー本の中で、「○○の教科書」というタイトルの本が無数ある。その中でもこの『サッカーの教科書』は、シンプル過ぎるほどシンプルなタイトルであり、装丁もとてもシンプルである。

その一方で、本の内容はどのようなものかというと、とんでもない内容の本になっている。真剣にサッカーをプレーする人、真剣にサッカーを指導している人にとっては、最低の本という評価が高い。評価が高いというよりはむしろ、有害図書指定、内容のひどさからくる悪質な本の部類に入る。

日本サッカー協会は、発売時に静観なのか、そもそも真剣に抗議するほどでもないという姿勢なのか、協会として抗議するのは話題性を煽り、逆に売れ行きを伸ばしてしまうと考えたのかは不明である。いずれにせよ、フェアプレーを推進する立場とは真逆ではある。

編者ももっともらしく「サッカー技術研究会」であり、サッカー技術研究会とは一体、どんな団体かも分からない。怪しい宗教団体のようで、内容からしてサッカーが本当に好きなのか、サッカーに何かうらみでもあるかのような雰囲気が伝わってくる。

僕としては、このような本は、腹を立てるまでもなく、お笑いのような軽く受け流せる底辺の底辺の本であると思っている。サブタイトルが「勝利への裏ワザ」であり、それが188も載っている。逆によくこんなことを本にしたなとあきれる。また「サッカー」という分野で、このようなサブカルチャー本が出版されること自体が、日本でサッカーの大きな裾野が広がっている証であると思っている。

 

裏ワザ188は、反則ギリギリのプレーの紹介である。それも写真入りで解説されている。レッドカードをもらってもおかしくない反紳士的行為であり、きれいに言うとマリーシアであり、ずる賢いプレー集である。

教科書というか、本にする必要はなく、このような悪質な汚いプレーは、少しずつ痛い目に遭って習得していくか、実際に試合を見て覚えるものだと思う。そして自らが試合でやってみて指導者にこっぴどく怒られるか、試合後に仲間によくやったと笑われるかどちらかである。

 

「まえがき」から笑える。

本書では、世界のトップチームが実践している、試合で勝つために必要な「ずる賢いプレー(マリーシア)」188項目にわったって、余すところなく紹介している。

敵を騙し翻弄するプレーから、反則プレーまでも含まれているが、きわどいプレーも巧妙に行えば審判の判断はセーフとなり、明確な反則プレーもバレなければ見逃される。すべて勝利を目指す究極のテクニックである。

なお、特に少年のサッカーでは、楽しさを実践することと、基本的技術習得が第一義的であり、これらのプレーを薦めるものではない。

 

真剣に読むのではなく、心身ともにリラックスしている時に読むことを薦める。