ニラニスタ発・蹴球思案処

蹴辞逍遥・晴蹴雨蹴

VUCA ブーカ

VUCA ブーカ

 

レジリエンスという言葉から派生して、人間的成長、サッカー上達の指針の1つとして、VUCA(ブーカ)という言葉も知っておきたい。

 

(V)Volatility 変動性

(U)Uncertainty 不確実性

(C)Complexity 複雑性

(A)Ambiguity 曖昧性 

 

頭文字をとった言葉である。90年代後半に軍事用語として用いられていた言葉であったけれど、2010年代頃から激変する社会情勢を指す用語として広まっている。現在もコロナウイルスパンデミック、異常気象など先行き不透明な事象が起こっている。ビジネスの世界でもテクノロジーの進化で、常識を覆す想像もつかなかったことが起こり、グローバル化やデジタル化が加速している。VUCA(ブーカ)の時代と言われても不思議ではない。

 

サッカーに置き換えて考えても、同様なことが言える。数年前まで世界のトップレベルでしか使用されていなかった道具が、アマチュアレベルで使用できる状態にまできている。

よく考えると、VUCA(ブーカ)=変動性、不確実性、複雑性、曖昧性は、サッカーそのものである。戦術的ピリオダイゼーション理論では、サッカーは複雑系であると定義しているし、試合中のプレーは常に(相手によって)変動し、不確実性に満ち溢れている。次に何が起こるか予測不可能な面が多い。

 

ネットで調べてみると、特にビジネスの世界では、VUCAの時代に生き残る人材の育成や、その手法やスキルを目にすることができる。サッカーが上達するノウハウそのものでもある。

 

VUCAの時代に求められる1番に挙げられる必要スキルは「自分で考える力」である。サッカーでいう「状況判断」は、今どのような状況に置かれているかを把握し、把握した状況の中で1番ベストな意思決定を行う。そして実行(プレー)し、チャレンジする。サッカーの試合においては、その繰り返しである。自分で考える力が常に必要とされる。

 

社会的に言えば、現代に求められている人材は、サッカーの中にすべて詰め込まれていると言っても間違いではない。オン・ザ・ピッチ、オフ・ザ・ピッチで求められていることは、将来に必ず役立つ。将来のことは考えないとしても、サッカーが上手くなるということは、VUCA(ブーカ)の局面をどのようにして乗り切っていくか、かわしていくか、ぶつかっていくかの連続である。その繰り返しの中で、いかに自分を高めることができるか、サッカーにおいて同じ過ちを繰り返さないかに尽きるのではないかと思う。サッカー上達のヒントは、サッカー以外のところに多く転がっている。

 

 

 

「人生とは何か」「自分とは何か」といった問いは、あらかじめ人生や自分についてのイメージがあるから、問いが問いとして成立するのである。このことはまた、すべての問いがかならずしも一意的な「答え」をもつとはかぎらず、問うこと自体がその「答え」より重要であるような問いもあり得る。