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県総体準々決勝 韮 崎-日本航空 Part2

令和3年度 第73回県高校総体サッカー競技兼関東大会予選 準々決勝

 

結果

5月5日(水) 13:30キックオフ 韮崎中央芝生G

韮 崎 2-0(1-1) 日本航空

 

静かで、それでいて力強い勝利だった。試合終了のホイッスルの後に吹いた風は、風の匂いさえ以前と全く違う、明らかに新しい風だった。選手たちが頑張って結果がついてくること、良い指導者に巡り合えたこと、全く別のチームを見ているようであった。この先も厳しい道程ではあるけれど、やればできるという自信と、監督、仲間との固い信頼関係を揺るぎないものにできた。どんなに厳しい状況に遭遇しようとも、みんなで乗り越えことができると確信できた試合だった。韮高サッカー部にとっても歴史に残る試合だったように思える。

 

試合開始前は、両校とも数少ないチャンスを活かすことが出来たチームが、勝つだろうと思っていた。前半開始早々、ほとんどの選手がボールに触っていない状況の中、右サイドからの鋭いクロスにピンポイントで合わせ韮高が先制した。ファーストチャンスをしっかりものにできたことは、とてつもなく大きな進歩だった。

先制された航空は少しずつリズムを取り戻し、前半15分には奪えそうで奪えないドリブルから右サイドを突破されクロス。1度はクリアしたもののセカンドボールをシュートされ1-1。これが航空のファーストシュートだった。やられる前にもう少し手は打てたもったいない失点だった。

飲水タイム後は、どちらかというと航空に流れが傾きかけていたけれど、両チームラストパスが雑で、DFに跳ね返されていてそれほど危なげな展開はなかった。

勝利を韮高にたぐり寄せた時間があるとすれば、ハーフタイムであろう。韮高ベンチでは熱心に、分かりやすく(?)、力強く(?)、監督が選手たちに細かく指示を出していた。後半の韮高の監督の采配は、前半を見ていくつものゲームプランの中から導き出した人間性あふれる采配であったと思う。監督力と魔法のハーフタイム。そしてそれを選手がしっかりと理解し、遂行したことが追加点へとつながったと思っている。選手交代も含め素晴らしい采配だった。地味に強い韮高の雰囲気がした。

後半の追加点はCKからだった。しっかりと枠をとらえたシュートは、当たり前のように航空ゴールに転がった。その後の韮高は、いつもなら追いつかれるのではないかとヒヤヒヤする安定感に欠けた試合展開になるのに、落ち着いたプレーが見られた。航空が交代カードを切ってきても、冷静に対応していた。なんとなく、航空がいつもの航空ではない元気のない航空だったこともある。欲を言えば、追加点を奪って息の根を止めて欲しかった。

一番の収穫は、毎試合、毎試合、前の試合の課題を韮高の選手が克服してきていることである。この試合の枠内シュートを見ると、前後半共にすべて枠内シュートだった。驚異的な数字で、選手も意識してゴールを狙った感があった。一番丁寧にしなければならないフィニッシュが、ゴール枠外のとんでもない方向へ飛んでいった軌道はなかった。たった2つだけそれはあったのだけれど、それはゴール前の直接フリーキックだった。韮高のフリーキックは入る気配がない。(まだ2年前の帝三戦のフリーキックを覚えているくらいだから、かなり低い確率でゴールしていない)。

いずれにしても、こういった試合をものにできると、とてつもない力が蓄えられ、ちょっとでは負けない勝負強いチームに成長できる。そして韮高はその成長過程にいる。対戦相手にもやりにくさが生まれ、やっかいな存在となる。まだまだ強くなれる可能性とポテンシャルを秘める選手たちに期待したい。