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県総体3回戦 韮 崎-富士河口湖

令和3年度 第73回県高校総体サッカー競技兼関東大会予選 3回戦

 

結果

5月2日(日) 13:00キックオフ 帝京三

韮 崎 5-0(2-0) 富士河口湖

 

順当にベスト8に勝ち進むことができた。なんとも形容し難い試合だった。失点0で押さえたことは(当然であるとはいえ)評価に値する。試合全般ではまあまあと言うべきか、次の試合に不安を残すような内容ではなかったという点で、(今までの韮高がそうでなかったので)まあ良かったのではないかと思う。チームとして良い状態で準々決勝に臨むことができる。もちろん細部にもっとこだわるならば、目に付く点はたくさんある。目に付く点はすぐに修正できるものではないけれど、トレーニングによって力をつけることができるので、監督を信じて良いチームを造っていくしかない。

なんとも形容し難い試合とは、率直に言うならば、薄っぺらい試合だったからである。特に攻撃においては、近い将来に強い韮高になるためには、正直、課題が残る内容であった。

 

試合はほぼ一方的に韮高が攻め続ける時間ばかりだった。富士河口湖のシュートは前後半2本の計4本。ハーフコートで韮高がどれだけ点を奪うことが出来るか、攻撃のバリエーションがどれだけ見ることができるかがポイントだった。

 

前半は飲水タイム20分まで0-0。立ち上がりからDFの背後へシンプルに放り込む攻撃が続いた。試合リスタート後のCKからようやく1点目。前半終了前にまたもCKから追加点で2-0となった。シュート9本、CKが10本ありながら、2点という薄味な前半の内容だった。

後半は6分にGKとの1対1を決め、ファーストシュートが3点目となった。そこから飲水タイムまで攻め続けながらもシュートは3本。試合終了5分前に4点目。相手が疲れていたことも助けられ、流れからの得点となった。試合終了前にしっかりとしたグラウンダーのスルーパスから5点目。後半シュート11本、CKは6本であった。

 

富士河口湖が相手ならば、前後半で飲水タイム前と後に、セットプレーで1点、流れから1点の計8点は獲らないといけない。勝手ながらアナライズすると、前半開始早々の決定機の1対1をGKにファイセーブされたこと、後半6分の3点目の直後に訪れた決定機を外したことが、強い韮高になれない分岐点だったように思う。試合は勝ったから良いものの、こだわりの内容ではなかった。まずシュートで終わる攻撃が少なかった。前半のクロスは14本、後半は6本ありながら、思い描く攻撃をつくり出すことが出来なかった。原因として考えられるのは、前に急ぎすぎて幅のない攻撃になってしまい、単調な攻撃になってしまったことである。中盤での横パスの交換やタメをつくり出させなかったために、SBが高い位置をとることができなかったことや、FWでボールが治まらないためにアタッキングサードに人数をかけることが難しかった。ゴール前に人数が揃っていないにもかかわらず安易にクロスを上げてしまい、リードしている状態なのにアドバンテージが感じられなかった。

ボールを受ける動きは中学までにやってきているはずなのに、高校になってやってきていないのか、忘れてしまったのかと思われるくらい、選手の発想が貧弱であったように思う。後半の得点後に追加点を奪うことができなかったので、監督がすぐに選手を2人入れ替えた采配は素晴らしい。そこから韮高のリズムは変わり、しばらくして流れからの得点が生まれた。

薄っぺらい内容となったのは、ボールに絡む人数が少なかったことが考えられる。ではどのように意識して変えていくのか。まずはボールの受け方、パスの引き出し方を再確認することだろう。4点目のように2人目、3人目がボールに関わることができれば、点が絶対に入る。監督に言われる前に、選手の攻撃イメージを大切にしたいところである。スペースに侵入するのか、ギャップに顔を出すのか、落ちてきて受けるのか。2列目からの飛び出しができるようにタメをつくるのか、そういった細部にこだわりがなかったので、単調な攻撃になってしまったと思われる。

自分たちがボールを保持している局面での共通認識と相互理解は、今後もっと深められる。どのゾーンでドリブルをするのか、仕掛けるのかいなすのか、ボール保持者のサポートの仕方からサイドチェンジ、ダイレクトプレーなど奥行きと幅を加え、相手に的を絞らせない攻撃がトレーニングによって出来るようにきっとなる。攻撃時の選手個々の判断のタイミングは、ボールを受ける前にある。状況を認識し、それを分析し、決断し、実行する。良い状態でボールを受けるにはどうすればいいかという思考は、最終的には「いかにしてシュートの局面を作り出すか」に行きつく。攻撃時のオフ・ザ・ボールの動きのレベルは、まだまだ上げることができると思っている。もっともっと強い韮高へ、進化できると信じている。