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『百年構想のある風景』スポーツ文化が国の成り立ちを変える

 

 

サッカー本 0079

 

『百年構想のある風景』スポーツ文化が国の成り立ちを変える

 

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著 者 傍士銑太

発行所 ベースボールマガジン社

2014年7月20日発行

 

この本はJリーグ公式ホームページに2007年12月から2014年1月まで150回連載されてきたコラム『百年構想のある風景』を加筆修正したものである。連載順ではなくコラムの内容により7章に分けられている。

第1章 百年構想のある風景

第2章 スポーツ文化を生きる

第3章 欧州に見る原風景

第4章 スタジアムの未来

第5章 国の成り立ちを変える

第6章 東京五輪 祭りのあと

第7章 街道をゆく

 

ざっくばらんにページをめくって、どこからでも読むことのできる本である。サッカーに携わってきた著者なので、サッカー人の目線から感じ、発する言葉は鋭い。サッカーという範疇にとどまらず、スポーツ界全体、またスポーツとは関わりが少ない人にとっても、取りついやすい文章となっている。

この本には一貫して「スポーツ文化と生きる市民と風景」が根底にある。そしてそれはJリーグの掲げる百年構想と思いを共有する。

暮らす地域への愛情や誇りを醸成する地域に根差したスポーツ文化には、個のチカラによって閉塞感漂う社会を変えていく強いチカラがある。

スポーツを通じて自分のまちを愛し誇りを持つことは、心のふるさとつくりにつながる。

「文化」は、ある瞬間の「イベント」ではない。連続した「日常」の中にある。

サブタイトルにある通り「スポーツ文化が国の成り立ちを変える」ほど、スポーツという存在は、大きな影響力を人間に対し持っていると思っている。オリンピックは商業的になりすぎたものの、国家的なスポーツ政策の大きな柱となっている。経済、福祉、環境政策と同様、これからさらにスポーツの存在は大きくなってくると思われる。アイデンティティ帰属意識を改めて考えさせられる本である。