ニラニスタ発・蹴球思案処

蹴辞逍遥・晴蹴雨蹴

新人戦3位決定戦 韮 崎-帝京三

新人戦3位決定戦 韮 崎-帝京三

 

結果

2月5日(土) 10:00キックオフ 押原人口芝G

韮 崎 0-1(0-0)帝京三

 

大量失点で敗れてしまうのかと予想していたので、0-1で負けてしまったものの、まあまあの出来だった。全般的に見て内容も結果も悲観するほどではない。むしろ望みがつながる試合だった。失点もOGで、完全に崩された決定機はなく、GK、DFと体を張って踏みとどまっていた。相手を自由にさせなければ、そう簡単に点は獲られない。韮高もチャンスはあった。決めれば勝てたし、決められなくて、決められてしまえば、負ける。勝負はいたって単純である。

前半は0-0。かなりのポジェッション率でボールを支配された。帝三はボールを支配している割には、シュートまでは結びつかない攻撃で、韮高の方が少ないチャンスを活かせるのではないかとさえ思えた展開だった。

後半もカウンター気味の攻撃で韮高が有利かなと予想していたら、後半10分過ぎに右サイドをこじ開けられて、速いクロスが当たってOGにつながった。クロスに至る前の守備が甘く、何度も何度もそこを突かれていたので、韮高の修正が早ければやられなかった。帝三の左サイドの攻撃は前半からパターン化されていたので、中盤でもっと激しくプレスをして相手の自由を奪えば、帝三も攻撃の精度は上がらなかったと思う。そうは言っても、帝三は韮高の組織的なディフェンスに攻めあぐねていて、ディフェンスラインでのパスを回していただけなので、韮高にボールを持たされている感があったのではないか。

0-1から韮高は積極的な攻撃をして、勢いがあるところが見られた。得点まで結びつかなかったのは、単に実力、技術、駆け引き、共通のイメージがなかっただけである。ボールをどこで受ければチャンスが広がるのか、スムーズな攻撃をするにはどこにパスを出せばいいのか、その時の状況判断と予測の思考スピードがまだ遅い。FWだったら、ゴール前では相手がボールを自分を同一視できないポジションを意識してとる、MFだったら、ハーフスペース、ライン間(ギャップ)でいい状態でボールを受ける、といったポジションの取り方とパスの引き出し方が相手ディフェンスの予想できる範囲内であった。

新人戦を終えて分かったことは、どの高校も「圧倒的な差はない」ということである。憧れや目標が自分自身の成長の糧になる選手がいるだろうし、あいつ(あの高校)だけには負けたくない、悔しい思いはしたくない、といったパワーが成長につながる選手もいる。十人十色のモチベーションがある中で、自らの人間としての成長とサッカーにおける成長は比例していなければならない。またはそのような成長がこれからは求められる。

新人戦での敗戦の経験とはどのようなものか。敗戦の収穫とは何か。何を感じ、どのような行動を起こすのか。限られた過ぎゆく日々を、ただやり過ごしているだけでは、何も変わらない。

 

何があったかを明確に記憶していて、

それが悪いことであるならば、

同じ状況で二度と繰り返さない。

それが経験だ。

イビチャ・オシム