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【2021.2.1 山梨日日新聞 掲載記事】

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新人戦の決勝で対決するのは、選手権決勝と同じ、日本航空と山梨学院だった。両校順当に勝ち進み、ほとんど驚きもない決勝対決である。

準決勝の帝京三-山梨学院の試合は、延長までもつれて最後はPKとなった。紙面によると、学院は選手権メンバー8人を(意図的に?)出さないで闘った。選ばれたメンバーは、苦戦しながらも勝利をものにした。選手権のメンバーを8人出場させないで、勝ち進むことは層が厚くないとできないことである。選手層の厚さを思い知らされる結果となった。

韮崎-日本航空は、航空に3点をぶち込まれて韮高は敗れてしまった。紙面には大きく「1年生大会Ⅴ韮崎破る」とある。紙面によると航空は、1年生大会では初戦で敗退している。その航空が優勝をした韮高を圧倒したので、ジャイアントキリングを成し遂げた」とのことである。

1年生大会で優勝した韮高は相当の実力があるようで、どのような試合をするのかと思ったら、案外大したことはなかった。試合後に聞くと、スタメンは1年生が半分以上出ていたとのことで、学院のように新しい戦力を試したのかもと思われる節がある。2年生を主力とした1年生大会で優勝したメンバーがスタメンを占めれば、航空を圧倒したかもしれないし、そう思うのが普通である。ベストメンバーでないならば、チーム全体の底上げなのかもしれない。いずれにしても外部の人間には分からないけれど、紙面や耳に入ってくる声を聞くとトップとセカンドの中間くらいではないだろうか。主力を温存し、選手間の競争力を高めようとしたのだろうか。それにしても学院と比較するとお粗末の結果で、勝たないと意味がないような気がする。

韮高は1、2年生の時に試合で活躍していたのに、3年生になると姿を見ない選手が多い。中学時代の貯金を使い果たしたのか、高校で伸びなかったのか、または2、3番目の選手が追い越してしまったのか、順調に伸びていない環境がある。高校前に伸びきってしまっていて、高校で伸びしろのある選手が単に追い越してしまったと思いたい。毎年、毎年、若いチームと言われているのも何かその辺が関係しているのだろうか。

いずれにしても、追い越されてしまった2年生にはがっかりで、追い越した1年生のプレーがあんな感じでは、学院の背中を追い続けるだけで、これまたがっかりである。

誰にも見ることのできない試合がしばらくは続きそうである。ちょっと昔までは新人戦は緑のユニホームは着ることができなかった。白のサブユニで全力でプレーしていた。今の時代は違う。

ユニホームは誰も覚えていないような記憶や魂を持ち続けていると思っている。新しいユニホームになってもなお、過去の膨大な積み重ねた歴史をしれっと内包している。何食わぬ顔をしているようで、素顔は歴代のユニホーム並みであると思う。緑のユニホームに恥じない人間となるよう死に物狂いで自分を磨き、トレーニングにぶつかって欲しい。その先に自分の納得するプレーがあり、望んでいた結果が待っている。サッカーが、緑のユニホームが、自己のアイデンティティーの一部を形成するべきものだと確信できたら、新しい視野が開ける。

 

 

自分の中にありながら、自分が認めようとしないもの

自分の中にないもので、自分が認めているもの

自分の道徳的、知的純粋さに基づいて、サッカー的に思案する

自分の良心、魂を揺さぶるものは?