サッカー本 0070
『蹴球画廊』F.C.GALLERY
五島聡サッカー画集
著 者 五島 聡
発行所 出版芸術者
2006年11月25日発行
サッカー本と一言に言っても、多くのカテゴリーがあり細かく分類される。本書はサッカー本の中でも「画集」のカテゴリーに属する珍しい本である。写真集なら選手から大会までありとあらゆる本があるけれど、画集となると漫画や絵本以外にはほとんど出会うことはない。そのような中で、『蹴球画廊』は特別な存在であり、希少価値がある。サッカーに携わっている者なら、五島聡が描く選手を一度ならず何度も目にしたことがあると思う。
選手を描くときは「近寄り難さ」をいかに表現するか、に気をつけている。彼らは特別な世界にいる人たち・・・・ピッチやテレビの画面上の彼らの姿を見て、ゾクっと鳥肌が立つ経験をした人も多いだろう。そんな鳥肌感、彼らとの「距離感」を表現したい、と常に思っている。
目次
- 旧館【サッカー小僧の部屋】
- 本館【サッカー絵師の部屋】
- 新館【サッカー馬鹿の部屋】
ページを開くと見開きで、左側が選手の肖像画、右側がサッカーイラストレーターが書いた思い入れたっぷりの文章がある。訴えかける選手の画はもちろん抜群であるけれど、五島聡の書いた文章、特に第1章旧館【サッカー小僧の部屋】の文章は、臓腑に染み渡る。
またあとがきも日本サッカーに対してのメッセージ観満載の内容の濃い文章である。06ドイツW杯が終わった後に出版されたこともあって、その当時の日本サッカーの現在地の確認が冷静にされている。
完成度の高すぎる本であり、想像力を働きさえすれば、奥深いサッカーの世界に浸ることができる本である。もちろんこの画集に登場する1番目の選手はエドソン・アランテス・ド・ナシメントである。