ニラニスタ発・蹴球思案処

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心静かに選手権

心静かに選手権

 

選手権予選になると、久しぶりに見る懐かしい顔に出会えるのだけれど、今年は試合観戦ができないので、静かな選手権予選になりそうである。応援エリアから「振り向くな君は美しい」の音楽が流れていたにぎやかさは今年はない。

 

ある時はため息交じりに、ある時は熱すぎるほど熱く、「生きているうちに、もう1回、韮高が選手権に出場して欲しい」と語っている還暦を過ぎた先輩がいる。韮高サッカー部に対して並々ならぬ支援をし続けてきたのに、観戦ができないなんて、何とかならないかなと思う。「今年は学校関係者、保護者以外は観戦はできません」と言われた時の淋しそうな顔を見て、僕も寂しくなった。強い弱いに関係なく、長い間支え続けている人がいるのはある意味、韮高の強みでもあるのに。

 

今年の選手権は99回大会である。100回大会を前に、選手権という大会そのものを、いろいろな角度から見直す機会として捉えるならば、観戦不可が良いのかもしれない。ちょっと距離を置いた場所から観る選手権であり、韮高サッカー部であるので、それがどのように映るか、またどのような反応になるかはキックオフのホイッスルと試合終了のホイッスルを耳にしないと分からない。

 

このような時代だからこそ、韮高には力強いサッカーをして欲しいと思う。韮高サッカー部が本来持ち合わせる佇まいが、試合前から終わるまで漂っていれば、12年ぶりの全国選手権に到達できるのではないかと思っている。

韮高サッカー部を取り巻く多くのファンや応援する人たちには寛容さが必要だろう。今まで当たり前だったことが普通にできなくなっている時世には、怒りや苛立ちより先に、寛大に受け入れる懐を持ち合わせて対応していかなければならない。

心静かに武運長久を祈っている。