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第60回全国高校サッカー選手権 準決勝 韮崎-清水商

第60回全国高校サッカー選手権 準決勝 韮崎-清水商

 

コロナウイルスの影響で、夏の甲子園までもが中止となってしまった。2月末より続いている負の経験の中で、正常なメンタルを維持することは難しい。深い喪失感があり、焦燥感とぶつけようのない怒りがゴロゴロしているような気がする。おそらく今は、正解のない時代なのだろう。サッカーと同様に正解がない。世間の常識や、偉い人や有名な人の発言なんかをそのまま受け止めてはいけない。それはとても危険なことであるように思う。

もう少し過去を振り返る。

 

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1881年(昭和56年)は、横森監督曰く「30年に1度」の逸材選手が揃い、全国制覇を狙うことのできる実力とポテンシャルを持つチームだった。必然的に韮崎も盛り上がり、第1回韮崎サッカーフェスティバルを開催した。

インターハイは、清水東が2連覇。韮高は事実上の決勝と言われた準決勝で清水東と対戦した。史上初のインターハイでのナイター決戦でもあった。

選手権山梨県大会の決勝は、韮高人気も最高潮となり、初めての有料試合となった。有料試合にもかかわらず決勝は7000人が緑が丘に集まった。第60回大会は、47都道府県すべての代表校がそろった記念すべき大会となった。そして韮高の創立60周年でもあった。韮高は優勝候補の1校となり、全国区で注目された。ユニホームも新調され、ツートンカラーのオリジナルとなった。

 

準々決勝、帝京戦は歴史に残る試合となった。2年前の決勝で帝京に大敗していたので、その雪辱戦でもあった。強風の西が丘での試合で、韮高は前半は風下であるにもかかわらず攻めた。0-0で前半を折り返し、後半は風上に立った。そして大柴剛さんのCKが風の影響を受け、直接帝京ゴールに突き刺さった(ように見えた)。GKが何とか触るも、混戦となり韮高が押し込んだ。その後も韮高ペースで試合が進み、横森潔さんの超ロングシュートが風に乗り、2点目となった。韮高が帝京を圧倒した試合だった。

 

準決勝の清水商戦は、おそらく最初で最後の静岡代表に勝った試合である。映像はTV中継なので前半途中から1-1で始まる。失点は開始早々1分経たないうちに決められてしまった。数分後、韮高は小林慎二さんのヘディングシュートで同点に追いつく。そして保坂孝さんのシュートで逆転。GKが反応できないくらいの弾丸シュートだった。そこからの映像(特に3/3)は、解説の平木隆三がだんだん興奮していくのが面白く、試合も見応えがある。

 

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最後と言えば、韮高の校歌が国立競技場に響きわたった最後の試合である。韮高の校歌と旧制韮中校歌の百折不撓は、この頃のサッカー少年は誰でも歌えたように思う。僕も例にもれず、清商戦の最後には応援席で歌った。インタビュアーは懐かしい細野アナである。小尾さんや岩下佳樹さんがインタビューされているその裏で、バックスタンドから流れてくる校歌のメロディーがなんとも言い難く良い。映像が悪いところも昭和的で良いところだと思う。勝利の余韻に浸って、いつまでも国立競技場のスタンドに残っていたい気持ちだった記憶がよみがえる。

 

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