ニラニスタ発・蹴球思案処

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不条理

不条理

 

緊急事態宣言が5月31日まで延長された。インターハイ中止の決定後、全中も中止になってしまった。全中の中止は僕の中では大きな衝撃だった。かつて全中の出場を目標にサッカーに打ち込んできた中学時代があったので、目標にしてきたものが消滅してしまうことは想像してだけで耐え難い。インターハイを最後に引退するサッカー以外のスポーツ選手達も同じ経験を味わってしまった。

 

日々積み重ねてきたものを表現できず、挑戦することなく終わってしまうこの事態をどのように受け入れるのだろうか。このような経験を人生で味わうことは本当に必要なのか。痛みにも似た深い悲しみがある。様々な部活の指導者たちも、選手にかける言葉を探している。おそらく探しても見つからない。

 

行き場のない怒りや諦めや無力感やありとあらゆる感情が入り混じる中、「不条理」という言葉が浮かんできた。10代から20代に移り変わる頃に僕は「不条理」について勉強した。そしてコロナウイルスの悪影響のせいで「不条理」を学んでいる。どのように考えてもこのような状況は不条理と言うより他はない。

 

少しでも前向きに考えるならば、人の痛みが分かる人間に近づけたことだろう。深い哀しみに沈んだ人に対しては、自分が味わった不条理な体験を思い出せば、寄り添えることが必ずできる。さらに前向きに考えるならば、「今、何をするかで、未来が決まる」のではないだろうか。

 

分かれ目は困難の時にやってくる

困難を前に絶望して立ち上がれなくなってしまうのか、それともいますぐには分からなくても、その出来事に何か意味があると捉えて人間性をより豊かにしていくのか、そこに人生の分かれ目がある。

~谷田虎の穴より