第98回全国高校サッカー選手権大会 雑感
緑の多い選手権だった。頂点に立った静岡学園、青森山田、帝京長岡、昌平、広島皆実、専修大北上、熊本国府の7校が、チームカラーがグリーンだった。ベスト8に4校のグリーンが勝ち進んだ。静学はいうに及ばず、昌平、帝京長岡も強烈なサッカーをした。ゴールに向かうサッカースタイル、(言い方は悪いかもしれないけれど)媚びないプレーはインパクトがあった。もちろん技術、戦術、フィジカルとレベルの高いありとあらゆるものを持っていたけれど、それ以上に持っているものは「誇り」だったように思う。
チームカラーはその高校の伝統と深いつながりがあると思われる。またチームカラーに関係なく高校生である以上、自分の学んでいる高校の名前を背負って闘う。地域の代表として、全国にその名前をできれば轟かせたい。左胸に刻まれる大切な字を興味深く見てみた。
左胸に縦文字でしっかりと高校の名前が刻まれていた高校は、秋田商、四日市中央工、日大藤沢、米子北、高川学園、日章学園、神村学園の7校だった。右胸やエンブレムの中で日本語を確認できたのは、前橋育英、市立船橋、國學院久我山だった。
残りの38校は横文字か、エンブレムだけで名前も分からない高校も多数あった。高校サッカー選手権というより、クラブチームの大会と変わらない気もした。エンブレムの前に学校の校章もある。高校という枠組みの中で考えれば、地域の代表として、帰属意識的な意味合いも含めて、もっと郷土に根差してもいいのではないかと思う。
生中継された抽選会から楽しませてもらった今大会は、2番目の出場回数34回の四日市中央工と山梨県代表の日大明誠は初戦で対戦した。四中工との対戦が決まった後、仲間から連絡がきた。「四中工には夏も冬も一度も山梨県勢は勝ったことがない」とのことだった。実際28年前は、インターハイも選手権も1回戦は四中工だった。1991年の四中工は学校史上一番強いと語り継がれる年代だった。選手権での韮崎-四中工は三ツ沢に正月から応援に行ったことを思い出したりして、試合を見ていた。日大明誠-四日市中央工試合は、めったに見られない反則プレーがあった。CKからのプレーは今の笛はなんなんだと驚く珍しい反則だった。審判のナイスジャッジだった。そして今年も四中工の壁は超えられなかった。
準決勝静岡学園-矢板中央のTV中継の前に、韮高の映像が流れた。「未来に伝えたいワンシーン第61回決勝・人々の心に刻まれた『伝説の25分』」での羽中田さんのプレーだった。昨日のように脳裏によみがえるプレーだった(DVD化した韮崎-清水東戦があるので、声をかけてもらったらプレゼントします)。
もう1つ、第1試合青森山田-帝京長岡の試合の線審が、山梨県ではよく見ることのできる方だった。山梨県代表(?)として埼スタのピッチでタッチラインを走っていた。
静学がどんなに素晴らしいプレーをしても、やはり緑のユニホームと言えば、僕の中では韮高である。やはり韮高が出ていればどうなっただろうと最後には思ってしまう。緑のユニホームには「韮崎」という文字が一番似合うと思うし、選手権のピッチでそれを見ることができれば、これ以上にない幸せなことだと思う。