サッカー本 0053
『15人のハーフ・バックス』
著 者 中尾亘孝
発行所 文藝春秋
1991年9月25日発行
多くのサッカーファンから快く思われていない中尾亘孝の本。時代背景としてはサッカーではJリーグ誕生前に出した本であり、ラクビーでは第2回ワールドカップ前に出された本である。サッカーに魅了される人間がいるように、著者はラクビーに憑かれてしまった。行き過ぎた言論でラクビーファンからも敬遠される珍しい人種である。
書いてある内容は、ラクビー至上主義で極まりない。とはいってもラクビーをサッカーに置き換えて読むとそれほど悪い本ではなく、著者の思い入れは伝わる。
この本が出版されていた時代は、サッカーの知名度よりラグビーのほうが上か同じくらいであった。そこに降って沸いたサッカーのプロ化が著者を刺激する。
サッカーがW杯に出られるかどうかという疑問に答えておきましょう。まことに御同情たえない次第ですが、ノーです。ジャパンがオールブラックスに勝つより確率は低いといえそうです。
またスポーツの切り口が面白い。個人的にはそういった発想はなかった。
ワールドカップの快楽と危険性についても考えてみたいと思います。たとえば
「スポーツはやるものである」
「いや、スポーツは見るものだ」
という古典的な論争があります。スポーツを見て楽しむことが重要な快楽になればなるほど、この種の議論は活発となり、両者が満足する結論が決して出ないこともわかっています。~略~
良いか悪いかは別として、ラクビーの代表をどうやって強くするのかという熱い信念があり、過去を踏まえての将来の展望がうかがえる。ライバル視されるサッカーからすれば、ラクビーに限らず野球、その他のスポーツのアンチサッカーの本も謙虚に目を通すべきだと思っている。
【参考】