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ラグビーワールドカップ開幕

ラグビーワールドカップ開幕

 

アジア初のラグビーワールドカップが開幕した。ラグビーが注目される日々となるので、改めてラグビーと自分との関係を整理し、見つめなおす良い機会である。

 

ラグビーと自分との関係を考えた時、2つの出来事が思い出される。1つは中学の頃で、もう1つは大学時代のことである。

中学3年の夏、サッカーの部活が終わった。高校受験勉強を本格的にしなければならない秋なのに、ちょっとしたきっかけからラグビーをすることになった。サッカー仲間が日川高校ラグビー部から声をかけられ、高校からラグビーをすることを決断した。その仲間のために、ラグビーの秋の大会に出場することを先生が決めた。幸い、大学時代にラグビーをやっていた先生がいて、ラグビーの練習を教えてもらうことになった。サッカー部以外からも選手が集まり、放課後に受験勉強なんかしないで、ラグビーボールを追うことになった。本当に1からのスタートで、ラグビー用語、ルールから教えてもらった。当時はTVドラマの「スクールウォーズ」の影響もあり、みんなで有り余っている体力を無駄に発散させていた。

大会までに何とかチームらしい体裁を整え、韮崎東中、最初で最後の試合に出場した。試合はもちろん負けてしまった。覚えていることと言えば、試合の最後になって、「先生の指示なんか聞かないで、勝手に好き勝手にやってみよう」とスクラムを組む前にコソコソと話したことである。

その仲間は、花園で1年生から出場した。大学でも活躍するラガーマンに成長した。社会人では三洋のラグビー部でプレーし、TVによく映っていた。中学の頃はストッパー(DF)で、試合中チーム内で喧嘩ばかりしていた。ラグビーへの道の選択は正しかったと今でも思う。

 

もう1つは大学時代の秩父宮ラグビー場である。晩秋から年末に向かう冬にかけて、秩父宮ラグビー場に足を運んだ。通った大学のラグビーが強かったこともあるけれど、それにも増してサッカーとは違ったラグビー独特のスタンドの雰囲気が気に入ってしまった。中学時代のサッカー仲間とは所属リーグが違っていて、そのプレーはあんまり観ることができなかった。

スタジアム内の雰囲気はもちろん、秩父宮ラグビー場に向かう道も趣があった。国立競技場を仰ぎ見ながら外周を歩き、絵画館を横目に外苑前の銀杏並木への道は、ラグビー観戦前には文句の付けようがない。秩父宮ラグビー場は、国立競技場、神宮球場の存在感とは異なり、とても控えめなところが気に入っていた。僕はいつも正面入り口ではなく、東入場口から入った。東入場口へと続く道のひっそり感がたまらなく好きだった。

松任谷由美の『ノーサイド』という曲がある。サッカーの曲だったら良かったのにと思っていたけれど、冬の日の夕方、秩父宮ラグビー場ラグビーの試合を観ると、この曲はラグビーノーサイドの曲だと痛感した。

 

サッカー、ラグビーというスポーツの枠組みを超えて、スポーツというフィルターで見た時、今回のワールドカップは、スポーツの意味やスポーツの価値を考えてみる良い機会ではないかと思う。