ニラニスタ発・蹴球思案処

蹴辞逍遥・晴蹴雨蹴

『人を束ねる』

12月サッカー本
 
『人を束ねる』

f:id:nirasakishikibu:20190829074417j:plain

著 者 久米一正
発行所 幻冬舎新書
2012年3月30日発行
 
先月23日に清水エスパルス副社長兼ゼネラルマネージャーの久米一正氏が逝去した。突然の訃報に驚いた。ご冥福をお祈り申し上げると共に、久米さんの本を紹介する。
なぜ、僕が久米さんを好きかと問われれば、久米さんが選手獲得をするにあたり、その選手の好みが僕と似通っているからである。柏レイソル時代、清水エスパルス時代、名古屋グランパス時代の選手のスカウティングには、うならされてしまう。
 
サッカー仲間に、僕の大好きなJリーガーのお父さんを紹介してもらったことがある。そのJリーガーはいくつものJクラブからオファーがあった中で、久米さんのプレゼンと交渉により、久米さんのクラブを選択した。その時の事がこの本に書かれている。お父さんにその時の久米さんの交渉を聞いたことがある。交渉の場での久米さんのプレゼンは、粘り強く、そして誠意を感じることができるらしい。
 
あまりにも早く他界してしまった久米さんである。あとがきを再読すると、心痛い。
 
今後の人生についても考えた。いつかまた、別のクラブから誘いがかかれば、新天地に赴いて、そのクラブの改革・強化に携わるのもいいだろう。Jリーグの事務局に入って、各クラブを巡回し、フロントの業務のノウハウをたたき込むのもいいだろう。
しかしいつまでもバリバリと働けるわけではない。ハワイでの休暇中、私は自分のこんな老後の姿を思い浮かべた。ヨボヨボになった私はツエを突いて、自分が仕事をしてきたスタジアムに足を運ぶ。ロイヤルボックスに通してもらって、関係者の弁当を勝手にいただいて、自分がかかわったチームに枯れた声で声援をおくる。
私の夢はそんな老後を過ごすことだ。日立柏サッカー場日本平スタジアム瑞穂陸上競技場豊田スタジアム。あやうい足取りで訪れるゆかりのスタジアムで、西野あたりと思い出話に花を咲かせながら、サッカーを見るのも愉しいだろうなぁ。
 
 
久米一正がサッカー界に遺したもの。「情熱とビジネス感覚の両立を」】