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『山梨のサッカー』

6月のサッカー本になる予定が、7月にずれ込んでしまった。

『山梨のサッカー』

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著 者 「山梨のサッカー」編集委員
2005年11月10日 初版発行
 
この本は県生涯学習推進センターで開催したサッカー講座の内容を本にしたものである。つい最近と思っていたら、もう10年も前の講座だった。
 
第1章 山梨にまかれたサッカーの種 ~韮崎サッカーの歩み~ 横森 巧
第2章 甲府クラブ日本リーグでの活躍   田草川光男・川手二郎
第3章 ヴァンフォーレ甲府の誕生・挫折・再生   海野一幸
第4章 山梨県サッカー協会の挑戦   渡辺玉彦
第5章 世界へ広がる山梨のサッカー ~仲田英寿を育んだ土壌~ 皆川新一
 
改めてページをめくってみると山梨のサッカーの歩んできた歴史が分かる。
なんといっても第一章に山梨のトップに立つヴァンフォーレ甲府ではなく、韮崎高校サッカー部になっている点が重要である。本文から引用する。
 
先ほど申しましたように、山梨県のサッカーは甲府にあった山梨師範で産声あげたわけですが、その後の山梨のサッカーの発展は、韮崎中学校・韮崎高校の歩みを抜きに語ることはできません。勿論、甲府中学。甲府第一高校、日川高校、最近では帝京第三高校などが、山梨県の代表として全国大会で好成績を上げた時期もありました。しかし一貫して実力を保ち、山梨の高校サッカー界を牽引し、社会人チームに優秀な選手を輩出し続けてきたという点で、韮崎高校サッカー部の歴史は、山梨県のサッカーの歩みの中で大きな比重を占めると思います。

このようにして、第1章は韮高サッカー部の歴史がダイジェスト的に語られる。以前、ブログに書いた部員200名の時の話も出てくる。「未来を見据えて」という最後の横森監督の言葉をしっかりと読んで欲しいと思う。
 
第2章では川手良萬氏の話である。山梨県のサッカー史の中では最重要人物であると思う。僕が小学生の頃から「川手良萬」という名前は監督から覚えておけと言われた記憶がある。いろいろな大会であいさつをしていたことを思い出す。

第3章になりようやくヴァンフォーレ甲府である。この本が出版された時はまだJ2で、注目度も今一つだった。そしてこの年にJ1昇格を決めている。だから小瀬の観客席の改修工事、今では考えられないけれど、アルビレックス新潟戦を「川中嶋ダービー」と名打って松本のアルウィンで開催。またザスパ草津との温泉ダービーなど、ヴァンフォーレ甲府の営業努力が懐かしく感じる。
 
この本のサブタイトルそのままで、過去を知ることによって、現在から未来へつなぐパスができる。そんな1冊である。

現在においても、そして未来も韮崎高校サッカー部は、山梨のサッカー、そして日本のサッカーをリードする存在であって欲しい。

この本も紛れもなく、必読書の一つであると考える。